人新世時代のまちづくり考4~エネルギーと食料~
人新世時代において大規模災害に続いて見直しが迫られるのはエネルギー政策です。
地域分散で自然エネルギーを可能な限り活用していく流れは必然のものとなってます。
こちらも災害対応と同様に単独の市町村で対応するのには限界があると思います。
基本的には都道府県、強力な中核都市があれば中核都市が中心となって地域の戦略をまとめることが必要です。
小さな市町村は人的な面でも対応能力に問題がありますしエネルギーは市町村の壁を越えた課題です。
バイオマスの発電所を設立しようとした場合に資源の確保には一定の地理的な広さが不可欠です。
神奈川県西部を一例に挙げれば西部だけでは足らず静岡県東部までをも含めないと採算が取れない可能性があります。
都道府県にしても市町村にしてもこれまでのいわば縄張りに囚われることなく発想の転換が求められます。
生き延びるためにはエネルギーとともに大切なのは食糧です。農林水産業の振興で自給率の向上は待ったなしです。
政府は盛んに食料の輸出が増えたことを宣伝していますが自給率が下がってしまっては元も子もありません。
二宮尊徳が言うところの「積小為大」、小さな取り組みの積み重ねで農業の持続性を高める必要があります。
学校給食の活用がいちばん手っ取り早いです。地産地消型への転換を徹底する時期だと思います。
多少コストが割り増しになろうとも地域の農林水産業を維持するための必要経費だと割り切るべきです。
地域の農林水産業と連動した産業おこしも農林水産業の持続に大いに貢献します。
わかりやすい事例が開成町の酒蔵の復活です。40年ぶりに開成町の酒蔵瀬戸酒造が生産を始めました。
出荷と同時にフランスで賞を受賞する幸運に恵まれて順調な滑り出しを見せています。
瀬戸酒造で取り組んでいるのが開成町の酒米で酒を醸造することです。地域の農業と連動します。
たまたま私の水田を耕作してもらっている農家の方が酒米づくりに取り組んでいて瀬戸酒造に出荷してます。
水田の維持にもつながりますし地元産の酒の出荷にもなり一挙両得です。同じような農家が増えることを期待してます。
秋田県の新政酒造が地域ごと酒米づくりに挑戦している姿をNHKEテレで紹介していました。
新政酒造では無農薬栽培を要請していて紆余曲折を経たものの地域全体で生産に踏み切りました。
地域の水田農業の持続だけでなく無農薬栽培という新たな付加価値をつけることでさらに競争力が上がります。
江戸時代の典型的産業である酒造業を現代のテクノロジーを応用して再生していけば農業持続の先導役となれます。