しぶとさが持ち味、岸田政権

オミクロン株の猛威のさなかで行われたNHKの2月世論調査、岸田政権の支持率はさほど下がりませんでした。

3ポイントの下落の54%。不支持は7ポイント上がったものの29%です。しぶといと思いました。

菅政権がデルタ株への対応で四苦八苦していた昨年8月の調査は支持率は29%、不支持は52%です。

感染者が激増している時点での両政権への国民の反応の違いが際立つ数字です。

オミクロン株はデルタ株に比べ感染力は強いものの重症化は少ないというデータが出ています。

このため国民の恐怖心からくる怒りの感情の爆発はなく冷静に事態の推移を見ていると考えられます。

対応策のうちの柱のワクチン接種を取り上げてみれば菅総理は接種に躍起となっていました。

有言実行で一日接種100万回を実現しました。しかし支持率は持ち直しませんでした。

岸田政権の対応はワクチンの種類が途中で変わることへの不安があるとはいえ出遅れ感が否めません。

しかし支持率の低下に結び付きません。政治現象の不可解さを象徴する現象です。

国民はリアルな実態というよりも両総理から受け取る雰囲気で判断しているとしか思えません。

菅総理は必死で仕事にまい進するあまり、とげとげしい雰囲気を国民に与えてしまいました。

岸田総理は菅総理の仕事師ぶりに比べれば対応は手ぬるいところがあっても落ち着いてコメントを発します。

国民は岸田総理の態度から一定の安心感を得ていて、このことが支持率の急速な下落を防いでいると見ます。

国民とのコミュニケーションの取り方がいかに微妙なものかを明白に示しています。

NHK世論調査の政党支持率の方は自民党は41.5%で微増です。立民党は1.9ポイント上がり7.3%です。

維新は5.2%で微減しました。立民は、支持率で野党第一党の座を取り戻しました。

夏の参議院選挙の最大の焦点のひとつは昨年の衆院選の維新の勢いが持続するかどうかです。

年明けからの状況は勢いが徐々に減じて来ていますがまだまだ判断するのは早すぎます。

北朝鮮のミサイル発射やウクライナ情勢、中国の海洋進出や人権侵害など国際情勢は険呑です。

なかでも米中対立の激化はタカ派的な国民感情を喚起します。自民党以上に維新票を掘り起こす可能性があります。

台風の目と言ったら言い過ぎですが維新への国民の支持の動向は目を凝らしてみる必要があります。

自民は堅調です。公明も手堅いでしょう。維新が勢いを持続させるということは他の野党の失速です。

この夏の参議院選挙は当面の政治構図を確定させる選挙となります。地味ですが重要です。