人新世時代のまちづくり考3~人口減少対策~

国連の推計では世界の人口は2050年には97億人に達すると予測されその多くはアジアとアフリカだと言われます。

人口減少に悩む日本ではピンときませんが人口抑制策をとることが求められている国が多いのが現実です。

地球規模での実態と日本の状況がこれほどまで大きく乖離されてしまっている中で日本の人口対策は難題です。

人口は国力の重要な指標であって人口減少は食い止めなければならないという考え方があります。

一方で経済が成熟するとともに子供の数が減り人口減少は必然なので受け止めるべきだとの考え方があります。

政府は前者の立場を取り全国の地方自治体とともに人口増に躍起になってますが成果は上がってません。

なぜ人口増が必要なのか根本的なところでの国民的理解が深まっていないところにも要因があります。

人口減少で活力が奪われると危機感を抱いているのは大都市ではなく地方特に中山間地です。

生活の基盤である地域の共同体自体の存続が危ぶまれる事態になっているところも多いです。

しかしそうした地域に住む人口は少なく危機感を抱く環境にない大都市の人口ははるかに多いです。

人口減少がもたらす危機に本気で立ち向かわないと国家の存立が危ういとは感じとれません。

政策を決める国会議員の数は人口比で決まりますので人口減少に苦しむ地域の声は縮小します。

日本は経済成長を追い求め成功したがゆえに人口減少を招き国家の衰退に直面してます。

人新世と言われる地球環境の危機の時代に入り再び成長を目指して人口道を目指すのでしょうか。

もはやそれは時代遅れです。だからと言って人口の急激な減少による衰退を放置してよい訳はずがありません。

環境と経済活動のバランスを求める人口対策をとることが今まさに迫られているのです。

これが人新世時代に相応しい人口対策の新たな目標だと思います。人口減少先進国の日本はここを目指すべきです。

むやみやたらの宅地造成で安価な住宅地を用意する高度成長時代型の人口増加策は避けなければなりません。

宅地開発は、環境に配慮し計画的であることが大前提です。ありとあらゆる宅地開発は再点検が必要です。

地方都市は環境保全と宅地開発のバランスを競い人口の呼び込みを図ることが求められます。

移住だけでは不十分で自然増対策も喫緊の課題です。子育て支援策が柱となります。

子育て関連施設の充実はもとより高校生までの医療費免除は標準となるでしょう。

地方都市のこうした努力が実を結べば人口減少は緩やかになりバランスを取り戻すことになります。

京都大学教授の広井良典さんが言うところの「定常型社会」の人口の姿です。実現できれば世界初です。