人新世時代のまちづくり考2~災害救援拠点~

3・11の際に民話で知られる岩手県遠野市が大災害の救援拠点として活動を支えたことは広く知られています。

遠野市は内陸部で津波の心配がなく地震さえ収まれば救援拠点として申し分ない位置にありました。

人新世時代となり災害が巨大化している現在、遠野市が果たした役割に改めて光を当てる必要があります。

災害救援拠点は災害救援活動の最前線を官民一体となって支えるもので災害に強い地域でなければなりません。

地盤が強固だとか津波が来ないとかいうことだけでなく住民のサポートも手厚くなければなりません。

平時から自衛隊や消防、警察、医療機関との連携を強固にしていなければいざという時に役に立ちません。

適地と考える市町村は、都道府県と協議し災害救援拠点として位置づける必要があります。

救援拠点の市町村として明示されることで当該市町村は責任が生じ災害対応をまちづくりの柱とすることになります。

鶏が先か卵が先かという問題はありますが基本は市町村側が自ら進んで指定を受ける姿勢が必要です。

ひとつ難問があります。地震、津波、火山などすべての災害に完全に強い地域を選ぶのは困難です。

広域自治体である都道府県が専門性と広域的な観点から選定を進めることになります。

私の住む神奈川県で言えば横浜市、川崎市、相模原市の政令指定都市は市独自で選定できます。

その他は三浦半島地域、湘南地域、県央地域、県西地域といった一定の地域ごとに救援拠点を選ぶことになります。

全国各地の都道府県も同様だと思います。これにより災害救援拠点という位置づけが鮮明になります。

ひところより研究者の方が使用頻度が減ったように思いますが減災という用語があります。

災害を完全に防ぐことはできないものの被害をできる限り少なく強いようという発想です。

人新世の時代の特徴である災害巨大化に対する処方せんとして正しい態度だと思います。

減災の柱となるのが災害救援拠点構想です。救援活動を円滑に進めることは被害を小さく食い止めることです。

減災都市を目指す市町村は災害救援拠点の設置を進めるべきです。自らの防災体制を強固にし他地域も助けるからです。

身近な例でいえば私の住む町のお隣南足柄市は減災都市に最適な都市のひとつだと思います。

小高い丘があり洪水に強いです。富士山の噴火時の降灰を避けることができます。

地盤の強い箇所を選べば災害救援拠点の条件に全て適います。医療施設やヘリポートも設置できれば万全です。

人新世時代の新たなまちづくりの柱として南足柄市あたりが名乗りを上げれば先駆的自治体となります。