人新世時代のまちづくり考6~続・エネルギーと食料~
明日から神奈川大学の政策過程論が始まります。2年ぶりに対面講義となります。
最初の3回は私の住む開成町のまちづくりについての解説と首長の果たす役割です。
開成町のまちづくりでいちばん胸を張れるのは農地を残す土地利用を計画的に行ったことです。
1975年2月神奈川新聞に開成町の三分の一を優良農地として将来の食糧危機に備えると町長だった父が答えてます。
人新世時代のまちづくりの先取りとして先見の明がある判断だと大いに評価されます。
それだけでなくウクライナ危機で表面化した食料の確保につながる具体の対策としても特筆されます。
気候変動が激しく災害も巨大化して食料を安定的に生産できるための条件が悪化しています。
地球規模で食糧危機に直面しつつあることは間違いありません。この状況を前提にしなければなりません。
農業生産地域とそれ以外とは状況が大きく異なりますがそれぞれの地域で農業の持続を最大限考える必要があります。
農業生産地域は当然ですがそれ以外の地域においても優良農地の転換にはより慎重さが求められます。
開成町で言えば父が町長を務めてた時代に確立した土地利用の方針を崩してはなりません。
優良農地として整備した水田は様々な手段を講じて維持することに全力を挙げることです。
ブログで何度か紹介した酒米の生産はその有力な手段です。コメの付加価値を上げるからです。
若手農家によるコメ作り集団を結成して酒米生産、できれば有機農法による生産に挑戦が必要です。
優良農地として整備した農地を開発することで既に許可された農地も周辺に存在します。
典型的な地域が開成町南部から南足柄市に広がる農業振興地域です。開発構想が立案されてます。
現状は開発しやすい一角のみを切り取り道の駅として開発し既に開業しています。
世界の観光地箱根へと通じる道路の開通もあって道の駅は賑わいが続いてます。
一見すると成功しているように見えてこの開発のやり方は極めて危険性が伴います。
利用しやすいところをつまみ食い的に開発してしまい条件が不利なところが残されるからです。
地域全体を面的に開発するという本来の姿に立ち返って開発を考えないと条件不利な農地が残ります。
農業後継者がいないとそうした農地は耕作放棄地になる恐れがあります。今が重要な時です。
地域全体を面的に開発するという原則に立ち返ってできれば農業生産に関連する産業集積を実現すべきです。
近くに道の駅があるのですから生産物を出荷できる生産拠点などが考えられます。
人新世時代、農地転用による開発は可能な限り農業生産に関連する産業の集積に努める必要があります。