アメリカの弱腰と陰謀論

NHKEテレ特集でロシアのウクライナ侵攻を取り上げ3人の世界的知性にインタビューをしていました。

そのうちのひとり、フランスだけでなくヨーロッパを代表する思想家のジャック・アタリ氏の発言が気になりました。

アタリ氏は1991年に旧ソビエト連邦が崩壊した後ヨーロッパ復興銀行の総裁として新しいヨーロッパを目指しました。

ロシアをヨーロッパの一員として迎え入れ平和なヨーロッパを構築しようとしました。

EU=ヨーロッパ連合やNATO=北大西洋条約機構の動向にも精通された方です。

その方が「アメリカという国は常に敵を必要としている。」と語りました。はっとしました。

アメリカ国防省と軍需産業が軍事予算を得るためには敵がいなければならず敵を探すというのです。

当時の中国はまだアメリカの敵というのには未熟な存在でした。代替となったのはロシアでした。

ロシアを敵にして結果ロシア側も軍事を増強し今日の事態を引き起こす伏線になったと見ていました。

鶏と卵のような話になってしまいますがアメリカが敵を欲したのとロシアが強国を目指したのは相補関係です。

アタリ氏の指摘を前提にするとウクライナにロシアが侵攻するのを許容していたとの見方が成立します。

アメリカ国防省と軍需産業の隠された狙いが軍事予算の確保だとすると戦乱は必ずしも忌避するものではありません。

第3次世界大戦に陥ってしまう事態は避けなければなりませんがそこに至らないレベルの戦乱は許されます。

バイデン大統領がロシアとの直接対決の回避を言明したのはこうした隠された意図があったとの疑念が生じます。

ロシアの暴虐により台湾や日本で中国への警戒感が高まりアメリカの武器が売れれば更に歓迎となります。

真相を突き詰める術はありません。陰謀論がはびこってしまう最大の要因だと思います。

アメリカのき然とした態度以外に忌々しい陰謀論を吹き飛ばす方法はありません。

それはアメリカが自由陣営の盟主という名誉ある地位を取り戻す道でもあります。

ロシアの暴虐は度を越しました。一般国民を犠牲にして一国の主権を力で強引にねじ伏せるやり方です。

当面の最大の目標はできる限り早期に戦乱を止めることです。長期化は血で血を洗う惨劇を招きます。

アメリカが指導力を発揮してNATO軍が力を行使するほか方法がないと思えてなりません。

取り残されているウクライナ国民を救出するための人道的な介入に限定すれば許容されます。

武器供与で安全な場所からコントロールをするような腰が引けた対応はウクライナ国民の犠牲を増やすだけです。