憲法と非核3原則の再評価

ロシアのウクライナへの軍事侵攻は日本の安全保障論議だけでなく憲法論議へも深刻な影響を与えます。

ウクライナのように露骨な軍事侵攻が現代において発生するとは思っていなかったはずです。

そこにプーチン大統領が激烈な一撃を与えたわけです。欧米社会の論理とは異なる独自の理屈です。

ロシアにとってウクライナは安全保障上の存在であってウクライナの主権などというものは度外視されます。

反ロシア指向の政権を打倒し深刻な脅威を取り除くのは当然であるという論理展開です。

プーチン大統領は言う事を聞かない国は力で押さえつけるほかにないと決断したのだと想像されます。

時あたかも弱腰の大統領がアメリカに誕生したのでこのチャンスを逃してなるものかとなります。

強権国家をロシアを支援する国が皆無ならば問題ありませんが残念なことにそうではありません。

中国は経済的にロシアを支えようとしています。ロシアにとって中国の経済力は頼みの綱でしょう。

ロシア以上の強権国家の北朝鮮は今度のロシアの動きとアメリカの反応を凝視しているのは間違いありません。

北朝鮮がこのタイミングで弾道ミサイルの発射実験を行ったのは関心の高さの現れです。

インドも西側に協調性を保っているように見えて対ロシアへの対応は慎重です。ブラジルもです。

ロシアの軍事侵攻がいわば踏み絵のようになり世界各国の基本スタンスが鏡に映し出されています。

日本は日米同盟さえ堅持していればしのげると思い込んできたのが偽らざるところです。

アメリカと同盟関係を結んでいればそれで十分かどうかは不透明だという現状が映し出されています。

強権国家が思いもよらぬ行動に出た時に現状で日本の安全は守れるかどうか真剣に検討すべきです。

こうした議論の延長線上には憲法問題も浮上します。専守防衛路線は大丈夫なのかとなります。

安倍前総理が問題提起し維新の松井代表が支持した核兵器の共同保有論もそうです。

私はタブー視することはもはや間違っていると思います。真剣に検討する時期に来ています。

ここで注意しなければならないのは論議することは憲法改正とか核保有に直結しないということです。

むしろ現行路線の正当性が強く認識される契機になると思っています。論議から逃げてはならないのです。

護憲派や核兵器廃絶派こそ論議を真っ向から受け止めなぜ日本はこの路線の選択が正しいかを示す時です。

憲法や非核3原則を金科玉条のように神棚に飾っておけば自ずと平和が保たれる時代は終わりました。

もう一度根っこから議論し直しその価値を国民が共有できるかどうかが問われているのです。