力の信奉者プーチン大統領の戦略を読む
ロシア情勢に精通している元外務省分析官で評論家の佐藤優さんが興味深い論考を書いてます。
https://news.yahoo.co.jp/articles/57697b8488d6ce0cd4ecdb64310471601957ed32?page=1
ロシアという国は直接対峙するのを嫌い緩衝材となる国の存在を求めるのが伝統的安全保障戦略です。
ウクライナはまさにそうした国です。そのウクライナがロシアの理屈からすれば禁断の一線を越えようとしたのです。
西側の軍事同盟のNATOに加盟の動きを見せました。逆鱗に触れてしまいました。
緩衝材を求めるのですから完全な属国、かいらい政権である必要はないと佐藤さんは述べています。
中立で軍事的な脅威が排除できれば良いというのが目標となります。理想は非武装中立国家です。
有無を言わさぬ凶暴さはこの国の伝統です。原発も平然と攻撃対象となります。
生活インフラを破壊し軍事的圧力をかければ現政権を崩壊か妥協に追い込めると見ているはずです。
ロシアは2014年に黒海に面するウクライナの領土クリミア半島を強制的に編入しました。
クリミア半島には世界に知られる保養地のヤルタがあります。ここで1945年2月歴史的会談がありました。
ルーズベルトとチャーチルとスターリンが第2次世界大戦後の勢力図について話し合いました。
チャーチルの名著『第二次世界大戦』の中でスターリンに手を焼く場面が随所に出てきます。
ヤルタ会談ではポーランドの戦後が議論されました。スターリンは自国の影響下に置こうと譲りません。
ルーズベルトもチャーチルも引き下がらざるを得ませんでした。親ロシア政権誕生の出発点となりました。
スターリンにしてもプーチンにしてもかの国の独裁者には妥協というふた文字はありません。
西側の民主主義国の論理を越えた論理で攻めてきますので手の打ちようがありません。
バイデン大統領のような紳士的で弱腰な大統領は与しやすいとほくそ笑んでいることでしょう。
スターリンの時代と今との違いはSNSの普及で情報が瞬時に世界を駆け巡ることです。
ひとりひとりが戦争のレポーターとなり得る時代です。極秘裏に進めた残虐な作戦が動画でさらされます。
非道の振る舞いに激怒した市民の連帯の輪が世界に広がることはスターリンの時代では考えられません。
私は経済制裁以上に世界の孤児となることの方がプーチン大統領に打撃を与えるのではないかと思います。
世界中から後ろ指を指される状況が強まればさすがの独裁者も揺らぐのではないかとかすかな期待を持ちます。