狡猾なスターリンと後継者のプーチン

1945年6月敗色が一段と濃厚となった時日本が頼りにしたのはソビエトの独裁者スターリンでした。

日ソ中立条約を締結していたことから中立を信じ連合国側との講和の道を探りました。

スターリンは無視しました。同じ年の2月のヤルタ会談で対日参戦の密約があったからです。

スターリンはルーズベルトとチャーチルに参戦の見返りの領土を要求しました。

南樺太そして千島列島です。北方領土問題のルーツです。米英両国は日本の降伏を早めるため飲みました。

ところがヤルタ会談の後で大きく事情の変化がありました。原爆の開発が急ピッチで進んだからです。

5月にナチスドイツが降伏してから奇妙な競争が始まりました。原爆の開発とソビエト軍の極東への移送です。

結果はほぼ同時決着でした。8月6日広島に8月9日長崎に原爆が落とされました。

ソビエトの満州侵攻は9日未明の出来事でした。一気に中国東北部、そして千島へと兵を進めました。

日本はソビエトの動きに翻弄されたことになります。スターリンを頼りにしての講和工作は特にそうです。

お人よしの日本を象徴するようで哀れさを感じます。しかしスターリンにだまされたのは日本だけではありません。

米英もそうです。原爆開発にはイギリスのチャーチルが強い指導力を発揮したことがわかっています。

優れた科学者をアメリカに送り込み共同開発に取り組み起爆装置の開発などで成果を挙げました。

しかしこの科学者の中にソビエトのスパイが紛れ込んでいて極秘情報はソビエトに流れていました。

元ドイツ共産党員の科学者でした。この科学者は1960年に有罪となり国外追放となりました。

ソビエトはアメリカの原爆開発に遅れることわずか4年で原爆を製造することができました。

スパイを働いた科学者からの詳細な情報提供があったからです。恐るべしソビエトです。

「暗号名チューブ・アロイズ~原爆投下・秘められたチャーチルの戦略~」というドキュメンタリーがあります。

2020年8月放送のNHKBS1スペシャルです。上記の内容を詳細に伝えています。固唾をのんで見ました。

ソビエト連邦共和国時代を念頭に強いロシアの復活を掲げているのがプーチン大統領です。

ウクライナ侵攻の前にはスターリンに倣いありとあらゆる謀略を尽くしウクライナを丸裸にしていることでしょう。

軍事拠点や生活インフラのどこに弱点がありどう攻めればウクライナが音を上げるか狙いすましているでしょう。

プーチン大統領の強固な意志を打ち破るのは容易なことではありません。犠牲者が増えるばかりで胸が痛みます。