対中戦略強化のため日韓関係の改善を

韓国の新しい大統領に保守系のユン・ソギョル氏が決まりました。日韓関係の改善の糸口となって欲しいです。

2017年の大統領選挙の直前、ゴールデンウィークのさなか私は韓国を訪れました。

亀井静香さんから突然の呼び出しがあってかばん持ちみたいな形で同行させてもらいました。

亀井さんは当時北朝鮮の拉致問題の解決に強い意欲を持っていて、そのきっかけをつかむための訪韓でした。

次期大統領の最有力候補のムン・ジェイン氏は北朝鮮とのパイプが太いとされていました。

亀井さんは大統領就任前にムン氏の側近たちと会談し北朝鮮との直接交渉の機会をうかがっていました。

自らが泥をかぶり政府がやれないことをやろうとの行動でした。残念ながら具体的な動きにはなりませんでした。

亀井さんは左派のムン氏が大統領に就任すれば日本との関係が厳しくなることもにらんでいました。

日本との関係を極度に悪化させないように緩衝材になろうという思惑も当然秘めていたと思います。

亀井さんがムン氏の側近たちと会談するのを横で聞いていて強く感じたことがありました。

ムン氏の側近の方々は元大統領のノ・ムヒョン氏の系列に連なる方々が大半でした。

ノ・ムヒョン氏とえば大統領退職後汚職事件を摘発されて2009年5月自殺に追い込まれた人物です。

側近たちはアメリカに渡って研究者になり捲土重来を期すなど苦難の日々を送ってきました。

再びの権力奪取を前にして燃えていました。同時にノ・ムヒョン訴追への怨念も感じ取りました。

すさまじい権力闘争が展開される韓国の政治事情を垣間見て日本よりよほど厳しい世界だと思いました。

ムン・ジェイン大統領の就任後は亀井さんが危惧していた通り日韓関係は悪化の一途をたどりました。

韓国の政界、あるいは国民と付き合うためには日本人は忍耐力が求められます。

反日を掲げることは大衆の支持を得ることにつながり政治家は常にその誘惑にかられがちです。

韓国経済も成長を遂げ日本に対し引け目を感じないレベルに達したことも反日傾向の強まりに寄与しています。

この韓国政界の常識を受け止めないと日本の政治家の方が感情的になってしまい上手く行きません。

亀井さんは相手は植民地にされてしまったのだから反発があるのは当然だと泰然自若でした。

そんなことよりもっと大局を見ること、すなわち中国に強大化に対抗すべきというのが亀井さんの持論でした。

中国の経済力の増大は日本以上に韓国経済をからめとってます。この現状に亀井さんは警鐘を鳴らしていました。

今年5月に韓国に保守政権が誕生します。日韓両国が大局を見て関係改善へと進むよう期待して止みません。