真珠湾、9・11、ウクライナ
ウクライナのゼレンスキー大統領が16日アメリカ議会でオンライン形式の演説を行いました。
NHKの中継を通じて聞いていて冒頭の発言に驚きました。ウクライナへの軍事侵攻を真珠湾攻撃になぞらえました。
1941年12月8日の日米開戦を思い出して欲しいと切り出したのです。聴衆の心をつかもうとしたのです。
頭に浮かんだのが「リメンバーパールハーバー」でした。侵略に対する敵愾心を喚起したのです。
ゼレンスキー大統領は、日本の真珠湾攻撃と並んでもうひとつ大事件を取り上げました。
2011年9月11日のニューヨークなどで起きたハイジャックされた飛行機によるテロ事件です。
21年前の出来事ですのでまだ記憶は生々しいはずです。忌々しい記憶を呼び覚まそうとしました。
ゼレンスキー大統領はウクライナで起きていることは真珠湾攻撃であり9・11だと言っているのです。
アメリカ国民に対し他国の出来事ではなく自分事として捉えて欲しいと考えたからでしょう。
更に決め台詞がありました。自由が脅かされていて自由を守るための闘いだということでした。
自由の盟主であるというアメリカ人の自負を巧みにくすぐる言い回しだと思います。さすが元役者です。
アメリカ人の心を揺さぶる言葉とともに最大限の軍事的支援を引き出そうと具体的な提案を盛り込みました。
アメリカはロシアとの全面的な軍事衝突は避ける方針ですので軍事で対抗はできません。
ゼレンスキー大統領はアメリカの考え方は十二分に承知の上でできる限りの譲歩を引き出そうとしました。
ドイツ連邦議会ではロシアとの経済関係を重視したドイツの姿勢がロシアに戦費を稼がせたと批判したと伝えらえれます。
国家の存続を脅かされているゼレンスキー大統領の率直極まる捨て身さを感じました。
ゼレンスキー大統領は、日本の国会でも演説させて欲しいと要請していると報じられています。
日本としてウクライナ支援の決断をしたのですから姿勢を旗幟鮮明にする意味でも早期実現が望まれます。
日本相手に真珠湾攻撃は持ち出さないでしょう。計算しつくした演説をするはずです。
プーチン大統領が核兵器の行使をにおわせて脅しをかけていることを念頭に核問題を持ち出すかもしれません。
唯一の戦争被爆国である日本が大人しくしていて良いのかと強く出てくるかもしれません。
第二次世界大戦末期にはソビエトによる満州侵攻で北方領土を奪われたではないかと呼びかけるかもしれません。
44歳の若き大統領の話しをじっくり聞くべきです。生死をかけている政治家の姿を見ることができます。