汚れてしまった大阪都構想

堺市長選挙で敗れた橋下大阪市長が「争点の設定を間違えた。」と敗戦の弁を述べています。いささか潔さがなくて言い訳じみています。

支持者を落胆させてしまったのではないでしょうか。全ての責任は私にあると言い切って再起を宣言した方がすっきりします。

今回の堺市長選挙は大阪都構想の是非が問われるに決まっています。相手は攻めてきますので、争点をずらすことは出来る相談ではありません。

橋下さんと橋下さんのブレーンである堺屋太一さんがまとめた文春新書の『体制維新ー大阪都』をざっと読み直してみました。

大阪府知事選と大阪市挑戦のダブル選挙に圧勝した直前に出版されました。橋下さんが上り龍だった時です。行間から勢いが溢れ出ていました。

同時に一種のすがすがしさがありました。東京だけの一極集中の日本を変革して大阪の栄光を乗り戻したいという意欲を感じました。

二重行政を打ち破り財源を浮かして将来の発展につなげようという方向性も明確でした。こうした純粋さが現在は影を潜めています。

石原慎太郎さんと手を組んだのもマイナスに作用しました。石原さんを取り巻くベテラン政治家の面々と体制維新とは、つながりません。

一連の暴言もありました。有無を言わさぬ政治手法もありました。大阪の未来を考えて捨て身で臨んでいる潔さは消え権力者のイメージが全面に出てきました。

堺市長選挙で橋下さんの一連の行動に対する評価が下されたと見るべきです。純粋な改革者としての橋下イメージを戻せなければ大阪都構想は潰えます。

私は、大阪都構想は、東京一極是正の有力な手段だと思います。しかし、今その構想は、汚れてしまいました。最大の試練の時期を迎えています。