日本の心がプーチンを正気にする

ロシアや旧ソビエトを扱った書籍への関心が高まり書店で探すのが困難になってます。

今なかなか手に入らない本の一冊に『日露戦争の世紀』があると知人より聞きました。岩波新書です。

わたしは蔵書の中にありましたので取り出して再読しました。深く考えさせられました。

著者は京都大学人文科学研究所教授の山室信一さんで旧満州国の優れた研究者でもあります。

読み始めたとたんに軽い衝撃を受けました。すっかり忘れてしまっていたエピソードが書かれてました。

日本とロシアの外交関係は1855年2月に日ロ和親条約を結んだところから始まります。

2005年4月に伊豆下田で開かれた修好150周年の記念式典にプーチン大統領が寄せた祝辞が紹介されてました。

「私たちはこうした先人たちの高潔な志を今日においても肝に銘じなければならない」と書かれていました。

調べてみると日ロの開国はドラマに満ち満ちてます。ロシア特派大使プチャーチンを悲劇が襲います。

乗船した軍艦が1854年11月の安政地震による津波で損傷し修理後再び出港したものの大しけで沈没したのです。

500人ほどの乗組員が救出されました。軍艦は江戸幕府は伊豆戸田(へだ)村(現沼津市)で新たに建造されました。

この大災害と並行して日ロ交渉が進められ修好条約の締結となり日ロ開国は実現しました。

プーチン大統領が国際デビューを果たしたのは2000年7月に開かれた九州沖縄サミットです。

サミットの時に柔道をたしなむプーチン大統領が日本の子供たちと柔道で汗を流したことが話題となりました。

プーチン大統領は両国の交流の歴史にも日本の武道にも深い関心と見識を持っている政治家です。

プーチン大統領は、ウクライナへの軍事侵攻で今世界の極悪人となってしまっています。

一方的に武力で他国の主権を侵害し押さえつける暴虐は許されるものではありません。

ロシアの最高権力者の座に20年以上座り続け悪魔に取り付かれたとしか思えません。

でもプーチン大統領には困難時に助け合い武道を愛する日本の心が今なお息づいていると信じたいです。

2000年のサミットへの参加時や2005年の日ロ修好150周年記念式典に寄せた真心を呼び覚まして欲しいです。

柔道は対戦相手をたたきのめすのではなく尊重します。何より礼節を重んじます。

静岡沖で沈没したロシア軍艦の悲劇は今現在ウクライナが直面している悲劇に合い通じます。

日本の心を呼び覚ますことができれば正気を取り戻せます。そうすれば平和への決断が見えます。

力だけでは世界の覇者にはなれません。世界の国々から尊敬の念を抱かれて初めて真の強国です。