JR横浜線、人を助けようとして列車にはねられた女性が問いかけること。
1日、午後1時前、東京に向かうために小田急線開成駅の改札を入ろうとしたところ電光掲示板がJR横浜線で発生した人身事故を伝えていました。線路内で横たわっていた男性を助けようとした女性が電車にはねられて死亡した事故だったことを後で知りました。深く考えさせられました。
遮断機が降りた踏切の先頭の車の助手席に乗っていて、父が止めるのを聞かずに飛び出したと伝えられています。40歳の女性の我が身を顧みぬ行動でしたに飛び出さなくても誰も責めません。
しかし、通常の人間の判断が入る余地はありませんでした。女性は助けるという一点に極度に集中していたのだと思います。時間は止まっていて無限に余裕があると感じられたのではないでしょうか。だから我が身を顧みずに飛び出すことができたとしか思えません。
通常は我が身を守るのが人間です。この時の女性のように通常の意識が消えた時に何が行動原理となるかを示しているように思いました。我が身を守るという通常の意識が消え去る事態では、人間は捨て身で他人を助けようとする。こちらの方が本当は人間の本質ではないかと思いました。
通常は、我が身を守ろうとする意識がその本質を隠してしまっています。しかし、ギリギリの局面に追い込まれた時に人間の本質が現れます。チベットのダライラマの言葉を思い出しました。「人間の本質は慈悲と利他である。」、他人を思い他人のために行動する。これが本質だと断言しています。
現代社会は、自分が良ければの社会です。この社会は実は人間の本質に基づいた社会ではないことになります。いわば幻想の社会に過ぎません。だとすると、現代の最大の課題は、幻想を打ち破ることです。ダライラマの言葉を借りれば、慈悲と利他の原理に基づいて社会を創り直すことになります。