自由と民主主義対権威主義の死闘

ロシアは黒海で旗艦をウクライナ軍に沈没させられたため明確な戦果を得ることに躍起です。

ウクライナ軍も徹底抗戦の構えですので戦争の収束のめどは全く見通せません。

むごたらしい戦争が継続される中で双方の価値観が真正面からぶつかり合いきしみあう音が聞こえるようです。

ウクライナは西側EUの価値観に沿って自由と民主主義の重要性を前面に出しています。

ロシアは西欧の価値観の押し付けは断固拒否しロシア的な権威主義的な体制で国家を維持しようとしています。

価値観をめぐる争いが口先の話しではなく現実世界での武力を使った戦いへと変ぼうしました。

西側の価値観を守る意識とロシア的な権威体制を是とする意識の戦いが目に見える形で展開されてしまいました。

目に見える世界の戦いを支えるのは目に見えない世界、意識のレベルでの情念だと言えます。

いささか精神論めいてしまいますがどちらの情念の方がより強いかの勝負です。

貧すれば鈍すると言われます。貧乏になると萎えてしまいます。西側もロシアも苦しいです。

どちらの方が忍耐力が強いかです。貧乏にはロシアの方が慣れているように思います。

しかしウクライナの捨て身ともいえる踏ん張りが西側全体に勇気を与えていて精神面のつっかえ棒になってます。

しかしドイツとフランス、EUの旗頭の2国の国内情勢が揺れ出し始めました。

ドイツはロシアに過度に依存したエネルギー政策が弱点です。自由と民主主義を脅かす可能性があります。

フランスは深刻です。大統領選挙で極右政党のルペン党首が勝利すればロシアよりに舵を切ります。

EUの結束に重大な亀裂を生じさせます。フランスの大統領選挙は今度の戦争の帰趨を決める選挙となりました。

日本の国家主義者にも試練が待ち受けています。安倍元総理らは自由と民主主義を強調してきました。

価値観を共有する国同士の連帯に盛んに言及していました。その言葉が本物かどうかが問われます。

ロシアの軍事侵攻でエネルギー価格の上昇が止まりません。物価高が日本を直撃します。

こうした状況の中で安倍元総理らが自由と民主主義を守るための戦いだとして国民を鼓舞できるかどうかです。

経済が厳しいから背に腹は代えられないとなればこれまでの勇ましい言説はまやかしとなります。

自由と民主主義を守る戦いだとの大義を掲げ国民に我慢を要請して初めて本物といえます。

西側もロシアもチキンレースのような状態に移りつつありますが相対的に有利な立場はアメリカです。

日本とEUとロシアがともに弱体化することを密かに企んでいることはいくら何でもないと信じます。