ゼレンスキー大統領の不退転の姿勢からの教訓

フランスの大統領選挙で極右政党のルペン候補が敗れたことは時代の画期となる出来事だと思います。

ルペン候補の敗北は既存の路線を維持しただけにとどまらない政治的な意義があります。

自国経済最優先、フレンチファーストの訴えが自由と民主主義を守るという大義に敗れました。

目先の経済的なメリットよりも中長期にわたる政治的な普遍価値を選んだ事実は重いです。

自由や民主主義ではメシは食えない、背に腹は代えられないとはならなかったのです。

まっとうな政治主張が票の獲得においても威力を発揮したといえます。

立役者はマクロン大統領ではなくウクライナのゼレンスキー大統領の断固とした姿勢です。

24日の夜NHKBS1でゼレンスキー大統領の誕生からその後を追いかけるドキュメンタリーを放送してました。

ドイツの番組です。ゼレンスキー大統領は2019年の大統領選挙ですい星のごとく登場しました。

元役者の知名度とネットを駆使した戦術で爆発的な人気を博し大統領選挙を制したのです。

2014年のロシアによるクリミア半島南部の強制編入、東部地域におけるロシア影響力の拡大。

経済の不振、はびこる汚職。辟易としていたウクライナ国民の前にゼレンスキーはさっそうと登場しました。

選挙に圧勝したゼレンスキー大統領を待っていたのは苛酷な政治の現実でした。

特に国際政治の場面で政治に未熟な哀れな姿を内外にさらけ出しました。

2019年9月にニューヨークで行われたトランプ大統領との会談は目を覆いたくなります。

トランプ大統領のぶしつけな要求に対しスタッフの助けを借りおどおど応えていました。

ところが今年2月24日のロシアによる軍事侵攻以降のゼレンスキー大統領は同一人物とは思えません。

ウクライナの自由と独立を断固として守り抜く英雄へと変身していました。

何がゼレンスキー大統領を変えさせたのでしょうか。国家の危機がそうさせたのでしょうか。

不退転の決心をしたゼレンスキー大統領は得意のネット戦略でロシアを圧倒しています。

支援する各国議会での演説は役者の経験を存分に活かし巧みさが際立ってます。

番組でも述べていたようにゼレンスキー大統領は世界を動かす政治家となったのです。

ゼレンスキー大統領の断固たる姿勢は日本の政治家にも大いなる教訓を与えています。

目先のこまごまとして事象に埋没するのではなく大義を掲げて戦うことの重要性を示しました。

日本の政治家に対し何を守り何をなすべきかを自覚し捨て身で臨めと叱咤しているかのようです。

普遍的な大義を掲げる断固たる姿勢は日本でも常にはびこる可能性があるポピュリスムに対する最強の防波堤です。

 

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