災害地名
足柄の歴史再発見クラブでは来年の関東大震災100年に向けて地域の大震災史を振り返ってます。
23日顧問の小林秀樹さんが山北町清水地区の震災を紹介していました。
地震や水害に度々襲われても地域を流れる河川の中州を開墾し続けた農民を報告しました。
小林さんが配布した資料の参考文献に目が留まりました。聞いたことのない用語がありました。
『西相模の災害地名』となってました。著者は私も知っている上村豪さんというでした。
かつてはオーディオ関係の店を経営し古書店も運営されていた方です。
歴史家でも地震科学者でもないのにどんなことが書かれているか興味がそそられました。
直接見せてもらい驚きました。地名から災害の危険性を察知するアプローチでした。
地名には災害の危険性を知る画係があるということは一般によく言われることです。
災害を連想する歓迎されない不吉な名前がついているのがその典型例です。
私の住んでいる開成町によくある地名の「〇〇島」の例もあります。
かつて河川の氾濫減だったという地域の地理的形状が名前になっている場合です。
上村さんはいうところの「災害地名」は以上のような一般的理解をはるかに超えていました。
日本の原住民だとされるアイヌ民族や朝鮮半島から渡来した人たちの言語にまでさかのぼってました。
アイヌ語や朝鮮語の発音から地名の意味を読み解くというアプローチでした。
開成町の地名の頁を開くと最初に出てきたのがなんと「牛島」でした。
漢字で「牛」とあると牛の意味に囚われてしまい牛のような形をしていたのではと思いがちです。
上村さんの解説は全く異なります。アイヌ語から「ウシ」の意味を探るのです。
「川に囲まれた盛り上がった土地」「川によって運ばれた石がたくさんある盛り上がった土地」
以上のような意味だというのです。漢字の「牛」にこだわってはいけないのです。
私たちの地域を流れる酒匂川は中世までは平野を自由に流れていました。
自然に堤防に囲まれたような地域ができたことは間違いありません。
「古田島」もあります。こちらは「浸食や地崩れによって地形が棚上になっている場所」となってます。
アイヌ語や朝鮮語の言語の発音と意味に精通した人でないと探求は難しいです。
しかしこのやり方は漢字の意味に幻惑されずに発音から意味を読み解く手法で新鮮です。
ちなみに観光船転覆の大事故が起きた斜里町の「シャリ」は「葦の生えた湿原」という意味です。
「ウトロ」港は、「岩と岩の間に細い道があり渡った」というの言語だということです。
こちらは『アイヌ語地名で旅する北海道』という本に書いてありました。地名は奥深いです。