神奈川県と大都市間の不毛の議論

6日、神奈川県の黒岩知事と横浜市、川崎市、相模原市3政令市長が意見交換しました。

政令市は県とほぼ同等の権限を持つ大都市のことで神奈川県は人口の3分の2がそうです。

神奈川県は際立って特殊な県で県と政令市との間で議論が起こるのは当然です。

報道によれば最初から深い溝ができているとのことで議論が深まる可能性が乏しいです。

こうした状況下で何度議論しても時間つぶしになってしまい意味がないと思います。

原因は明らかで神奈川県側が政令市の主張は論外だと斬って捨てているからです。

黒岩知事は政令市側の主張を検討した結果報告を審議会より既に受けています。

こうした議論をなぜするのか自体に疑問を投げかけるような答申でした。

政令市側が求める県からの独立に対してはゼロ回答を突きつけたと言って良いです。

大都市に独立され財源を奪われ得れば神奈川県は人口300万の並の県に転落します。

東京都に次ぐ大県である神奈川県の面子にかけて政令市の身勝手は許さないということです。

私は何度もブログで指摘していますがこの対処方針は料簡が狭すぎます。

県側が懐深く政令市側の主張を受け止めひとつひとつ丁寧に課題を議論すべきです。

事実上門前払いのような態度はそれこそ県民不在です。議論もろくにさせない態度は疑問です。

神奈川県も人口減少時代を迎え安定した行政サービスを提供するための体制を議論すべき時期です。

政令市側の問題提起は格好の議論の場を与えてくれています。大いに活用すべきです。

政令市側の主張が全面的に誤りで県側の主張は全てが正しいということはあり得ません。

双方の議論の中で今後の神奈川県の行政のあるべき姿を議論することは可能です。

大都市部の行政を横浜市や川崎市、相模原により多く委ねることは理に適ってます。

県と同等の行政サービスを行えるのですから住民に身近なところで行ったほうが良いです。

神奈川県はそうした権限配分で生まれた余力を広域調整や政令市以外の行政に注力できます。

県と政令市の面子のぶつかり合いから始まると権限や財源の奪い合いに議論が堕落します。

広域自治体である神奈川県の方が譲って政令市の主張を丁寧に聞くことから始めて欲しいです。

政令市の主張にも弱点はあります。飲料水ひとつをとっても神奈川県の助力なしには賄えません。

県央の相模川水系、県西の酒匂川水系から県の施設を通じて供給されています。

この役割は不動です。県の立場は強いのです。強い方が譲り議論を興すのは当然です。

大都市に集中し過ぎている行政の現状は見直す時期だからです。真摯な議論を期待します。