岸田に投資!は実現するか

岸田総理がロンドンで「岸田に投資を」と講演したことが話題となりました。

金融街のシティーで日本経済は今後力強く成長するとして内外の投資家に投資を呼びかけました。

しかし残念ながら日本の経済に先ゆきの見通しは明るいものではありません。

その証拠に国際金融市場で唯一円安街道を突き進んでいることから見ても明らかです。

少子高齢化が進み、人口減少も顕著。エネルギーと食料は輸入頼りとあっては投資家は警戒します。

投資というより買いたたけるならば日本の不動産や企業を買うかという問題関心だと思います。

1980年代はジャパンアズナンバーワンとまで称された日本経済の現状は誠に厳しいです。

こうした中で岸田総理が投資を呼び掛けたのはそれなりの覚悟があってのことだと推測します。

岸田総理は保守本流の自民党宏池会の領袖です。外交的には穏健路線の伝統を持ちます。

政策の真骨頂は経済政策にあります。宏池会の生みの親池田元総理の所得倍増をみればわかります。

岸田総理は新しい資本主義を掲げロンドンでの講演でも打ち上げました。

2000兆円にも上るとされる国民の金融資産を投資に振り向ける政策を総動員すると述べました。

その結果国民の資産を倍増するとしたのはかつての所得倍増を想起させます。

しかし新しい資本主義の全体構想がいまだ明確でないところが弱点です。

科学技術立国とかデジタル田園都市国家構想とか成長戦略の焼き直しとの指摘もあります。

推進体制が不明確で小泉政権の時の竹中平蔵さんみたいなキーパーソンが見当たりません。

天王山の参議院選挙は7月ですので新しい資本主義の成果が問われる前に選挙となるのが救いです。

ウクライナ危機により安全保障問題がクローズアップされていることも功を奏してます。

新しい資本主義論争を後景に退かせてしまうからです。しかしいずれ本格論争は避けられません。

参院選の後からが岸田政権の正念場です。経済政策が問われることとなります。

新しい資本主義の骨格をより明確にし与野党に問題提起していくことが必要だと思います。

日本の経済構造の大転換でもあり地球温暖化対策とも密接にかかわる大仕事です。

与党だけに限定せず野党にも広く意見を求め内容を詰めていくスタイルが望ましいです。

明治新政府の五か条のご誓文ではありませんが広く会議を興し万機公論に決する課題です。

こうした政策決定スタイルを遂行するには岸田総理はリーダーとして適任だと思います。

保守本流の自負を持ち極論に偏らず意見を聴取する姿勢を持っているからです。

新しい資本主義構想のとりまとめで指導力が発揮できれば岸田への投資は現実となります。