総合安全保障論議のススメ

総合安全保障とは安全保障を狭義の軍事力の視点だけでなく幅広い視野で考える発想です。

故大平正芳総理が打ち出しました。大平さんは保守本流の宏池会の領袖でした。

28年ぶりに誕生した保守本流政権の岸田政権がどのような安保政策をとるか目を凝らしてます。

ロシアのような国が存在するということは平和を唱えていれば平和になるのは幻想ということです。

しかし軍事力を増強すれば日本は守れるのでしょうか。冷静に考えなければなりません。

防衛費をGDPの2%にすべきとの意見があります。これは短絡した危険な発想です。

防衛の具体的な内容ではなく数字にかこつけた議論となっています。

かつて日本は防衛費をGDPの1%以内とする歯止め論がありました。

内容抜きに数字をもてあそんでいたと言えます。平和幻想の議論でした。

情勢は一変しました。数字をいじくったところで日本を守れるかどうかはわかりません。

軍事力を使って守る範囲をどのように設定するかは冷静な専門的議論が不可欠です。

私が推測するに完ぺきに守ることは不可能です。ウクライナでロシアは平然と原発を攻撃しました。

北朝鮮が真似したら一発で日本はおしまいです。そうさせない仕組みを考えなければなりません。

日米安保があるからも平和幻想です。かの国はそう簡単には腰を上げません。

日本を出しにして後方から支援する態度に終始することだってあり得ます。

日中の懸案の尖閣にしても日本領土です。日本が第一義的に血を流せというのは当然です。

軍事力の行使のケースをどう想定し対応できる戦力の保持をどうするか議論が不可欠なのです。

数字ありきや日米安保があるからという平和幻想的議論からは卒業が必要です。

国力に見合った軍事力は必然として外交や経済、社会、教育、文化など総合的に考えるべきです。

必要なのは軍事力強化一辺倒の議論ではなく故大平総理の総合安全保障の再検討です。

究極の安全保障は日本の破壊は取り返しのつかない損失だと世界から認識される国になることです。

強権国家が恐れているのは自由と民主主義です。世界に冠たる自由と民主主義国になることが必要です。

健全な愛国心を涵養することや安定した経済社会の構築も必要です。

世界平和や地球環境の保全に貢献する人材をあまた輩出する人財大国も目標となるはずです。

自由と民主主義と健全な愛国心で武装した安定した社会、世界に貢献する人財の供給国。

どんな独裁者であってもこんな国を破壊しようと思うことはあり得ないでしょう。

安全保障論議を狭く限定せずに日本が目標とすべき国家像まで踏み込んで論議して欲しいです。