神奈川県南足柄市の現代地域政治史
神奈川県南足柄市のここ10年程の歴史を振り返ってみます。起点は2013年5月です。
就任2年目の神奈川県黒岩祐治知事の失政の尻拭いをしたことに置きます。
南足柄市の加藤修平市長は東日本大震災で発生した漁網を受け入れると発表しました。
2013年12月までに107トンの漁網を最終処分場に埋め立てました。
黒岩知事の発案で横須賀市内の県の最終処分場で処理する予定が反対されとん挫してました。
黒岩知事は放射能への不安感がある中南足柄市が受け入れたことで窮地を救われました。
世話になったらお返しをしなければなりません。南足柄市が熱望していた事業が進みました。
南足柄市と箱根・仙石原を結ぶ道路の整備です。昨年4月に完了しました。
はこね金太郎ラインと称されていますが道路実態はそんな立派なものではありません。
箱根への道路というよりは抜け道です。災害時に使えるかどうかは微妙です。
この道路の開通を名目に南足柄市に道の駅が誕生するというプレゼントが届きました。
しかし道路の開通が思わぬ役目を果たしました。県議選の選挙区見直しの理由にされました。
細い血管が一本通った程度にもかかわらず箱根町との地理的一体性が高まったというのです。
牽強付会(けんきょうふかい)という言葉がぴたりはまるこじつけです。
道路の開通はぬか喜びとなってしまいました。予想だにしないしっぺ返しをくらいました。
南足柄市は財政難を主な理由に小田原市との合併構想を進め協議を重ねました。
2017年12月に加藤修平市長は白紙撤回しました。2019年4月に3選を果たしました。
合併協議を破棄することで自らのポストを維持しそのまま座ったことになります。
合併のように生きるか死ぬかの議論で失敗した時には責任者は身を引くのが常識です。
加藤市長の場合は逆に地位を守るための手段にすり替えたといえます。
今年2月南足柄市に激震が走りました。主力工場のアサヒビールが撤退を発表しました。
ふるさと納税の返礼品の目玉が消える訳です。撤退時期は来年1月。あまりに急です。
アサヒの看板商品はスーパードライです。その名前の通り極めてドライな対応です。
地元自治体の事情は考慮されません。道路や水道施設への市の投資は無駄になる恐れがあります。
それでも加藤市長はアサヒの仕打ちを優雅に受け止めているかのようです。
アサヒ側の事情を配慮し表立って抗議めいた行動は一切取ってません。
紳士と言えば紳士。弱腰と言えば弱腰。どちらにせよ南足柄市の危機を招いたことは事実です。
県議選の選挙区強制合区、アサヒの撤退。南足柄市は根っこからやり直しが求められます。