道州制再考1

15日、神奈川経済同友会の道州制研究会から道州制論議の現状と課題について考えを聞かせて欲しいと要請があり講演をしました。

私がかつて内閣府の地方分権改革推進委員会のメンバーであり、委員だった2010年3月に研究会で講演をしたことから声がかかりました。

その時の講演では、神奈川県の体制刷新を訴えました。神奈川県は、横浜市などに権限を譲って身軽になり県庁を県央に移転すべきだと主張しました。

大規模災害時に指揮する拠点が横浜に集中するのは危険過ぎます。県の役割は大都市以外の市町村をサポートすることにあり横浜に置いておく必要はありません。

講演をした時から3年半が過ぎました。状況は全く変化しました。道州制論議は再考が不可避です。神奈川県庁の移転論議も同様です。

まず人口減少が顕著になりました。毎年平塚市ぐらいの人口が減っています。100年後には明治維新の時と同じレベルとの推計も出ています。

3・11が発生しました。大規模災害への対応は何よりも緊急課題です。首都圏直下型の大地震や、東海、東南海、南海連動の地震も想定されています。

福島第一原子力発電所の事故は人類の生存の危機を象徴している出来事です。この後始末はとてつもない課題として日本国に立ちはだかったいます。

尖閣をはじめとする領土問題も発生してしまいました。日本の外交と安全保障をどうするのか道州制論議と無関係ではありません。

TPP問題が起こり政府は参加に向けて動いてしまってます。スーパーグローバル化時代の到来です。日本は立ち向かわなくてはなりません。

内外情勢がこれだけ大きく変化しているのに明治以来の中央集権の打破とかいう理由だけで道州制を語ることはナンセンスです。

自民党の道州制推進本部がまとめた法案を見ますとこうした内外諸情勢の激変に鋭く反応しているようにはとても見受けられません。

これまでの考え方をベースに法案にしたに過ぎません。ノー天気です。何故、道州制を導入しなければならないかを再考すること、これが基本中有の基本です。

 

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