皇帝プーチンの野望と限界
NHKで2009年放送の4本の特集番組を再放送しプーチン大統領の野望に迫ってました。
1989年のベルリンの壁の崩壊に続き1991年にソビエト連邦が解体しました。
連邦内の各国はそれぞれ独立し独立国家共同体というかたちに姿を変えました。
ロシアは共同体の中心国家ではありますが存在感は失い経済は混乱を極めました。
ロシアの栄光を取り戻そうと”強いロシア”を掲げ2000年に登場したのがプーチン大統領でした。
原動力は原油と天然ガスでした。国策エネルギー会社が国の富を蓄積しました。
オリガルヒと呼ばれる新興財閥への統制を強め国家独占資本主義体制を確立しました。
同時に軍事力の強化に努めました。明治日本の富国強兵策を極限にまで押し進めたかのようです。
2008年8月8日北京オリンピックの開幕日にロシアは隣国ジョージアに軍事侵攻しました。
軍事圧力を背景に一部地域を親ロシア派支配地域とし独立を目論むやり方です。
2014年のクリミア半島南部の併合、現在のウクライナ侵攻の予行演習をしたかのようです。
クリミア侵攻はソチオリンピックの直後、ウクライナ侵攻は北京冬季オリンピック開催中です。
偶然の一致とは思えません。世界的イベントのさなかに断行する効果を狙ったと思います。
プーチン大統領はロシア国民の精神的よりどころの強化にも乗り出しました。
ロシア正教会と連携を強め強いロシアをまとめる精神的基盤をつくりました。
戦前日本の国家神道と部分的に重なるところがあると思えてなりません。
混乱する経済によって格差が拡大すると貧困者への救済事業は宗教界の重要な活動となりました。
ロシア正教がロシア国民の間に浸透する場となっています。国家権力と宗教の2人3脚です。
それと教育です。徹底して愛国教育を施し愛国心を注入しています。
西欧的な個人主義、自由と民主主義を拒絶しロシア独自の教育を展開しています。
軍人教育においてその典型を見ます。軍人養成学校を次々と創設しました。
精強で鳴らした軍事共同体コサックの伝統を甦らせて強じんなロシア兵を養成しています。
富国強兵策の徹底、国家宗教による精神的基盤の涵養、愛国心教育。大日本帝国と重なります。
力づくの政治に固執する独裁国家は壊滅したという歴史を学ばないのは時代錯誤です。
プーチンの野望に対抗する側の結束がどこまで強固かがまず第一に問われます。
プーチン大統領が戦前の日本に範を求めていたとすると日本の役割は大きいです。
侵略戦争への固執は破滅への道だとロシア警告するとともに対抗する諸国の結束を促すべきです。