岸田総理の無為と高い支持率
7日の神奈川大学の講義でゲストの静岡県小山町の込山正秀前町長がつぶやきました。
岸田総理の高い支持率についてです。さしたる成果を挙げていないのにと不満げでした。
込山さんは菅前総理の方が積極果敢に様々な挑戦をしたと高評価でした。
ご自身も次々と開発構想を実現し稀に見る実績を上げたにもかかわらず落選しました。
有権者の心理はうかがい知れないものだと嘆く気持ちもかすかに伺われました。
菅前総理が数々の業績を網羅して総理在任時代を振り返っているのと重なります。
菅総理も公の場でこそ口には出さないものの仲間内では嘆き節を発していると思います。
仕事をすれば当然批判が出ます。しかし、しなくても批判は出ます。
どちらの方が一般的により批判が出にくいかというと後者の方に分が上がると思います。
すれば結果が出ます。しなければ将来に期待感をつなげるからです。
国地方を問わず長期政権を狙いたいなら慎重に事を進めた方が首がつながることになります。
これまでのところ上記の一般則に沿って巧みな政権運営をしているのが岸田総理です。
岸田総理は世論と党内の動向を見ながら打ち出す政策を変化させています。
新しい資本主義の看板政策であった金融所得課税強化への批判が出るとさっと引っ込めました。
最大派閥領袖の安倍元総理が防衛費の大幅増額を言うとそのニュアンスを政策に取り込みます。
しかし具体的な内容には常に踏み込みません。将来的に具体案をまとめると付け加えます。
漠然とではなく何年何月までにとか5年以内にとかめどを示すところがみそです。
具体性はないのですがめどを示されるので実行してくれるかのような願望を喚起します。
岸田総理は内政で多用しているこの手法を外交でも存分に活用しています。
10日にシンガポールで開かれたアジア安全保障会議の基調講演がそうでした。
「平和のための岸田ビジョン」を打ち上げました。来年春までにプランを発表するとしました。
具体的な内容は1年後にということならば努力する決意だけを示したに等しいです。
菅前総理ならば細かい細部をもっと打ち出しただろうと思われます。対照的です。
支持率だけを見ると岸田総理のやりかたの方に軍配が上がっています。
ただ岸田流ががいつまでも通用するわけではありません。結果が求められるからです。
新しい資本主義の具体策の実効性が乏しいとなれば批判が出るのは当然です。
外交面でも即座に決断を迫られるような局面になれば正念場と化します。
岸田総理の高い支持率は岩盤とはなってません。期待感でつないでいるのが実情だと思います。