「温故創新」のまちづくり

昨日の神奈川大学政策過程論のゲストは佐賀県多久市の横尾俊彦市長でした。

横尾市長は現在65歳、既に当選7回で押しも押される実力派市長です。

横尾市長と知り合ったのは2007年内閣府地方分権改革推進委員会でのことです。

横尾市長が市長の代表として私が町村長の代表として委員会に参加しました。

横尾市長はしっかりとした意見を持ちながらも押しつけがましいところはありません。

調和を大切にしていました。長く市長を務めているのは人柄のなせる業だと思います。

大学時代にカナダに留学経験があり若い時に海外でのまちづくりを見てきた強みもあります。

ふるさとのために働きたいと政治の道に踏み出し41歳で多久市長となりました。

そんな実力派市長にとっても慌てたのは昨今の猛烈な集中豪雨でした。

2018年8月の時は市内を流れる河川がはん濫し28軒の住宅に被害が出ました。

横尾市長は明るいうちに避難指示を出すかどうか首長が決断しないとならないと強調してました。

そのためには首長自らが気象データを見て専門家と直接やり取りする大切さを語ってました。

自ら防災無線放送で呼びかけネットを使い発信することを実践したとのことです。

被災後は職員が足りません。こちらも人脈をフルに活かし応援してもらったということです。

日本人が知っている有名な四字熟語は「温故知新」です。中国古代の聖人孔子の言葉です。

江戸時代の学問は中国の古典を読むことでした。多久の領主は力を注ぎました。

1708年に孔子像を祀る施設を建てました。孔子廟です。国指定重要文化財です。

多久市ではこの歴史遺産を活かし子供たちに孔子の『論語』の言葉を教えています。

カルタにして小学生でも学べるよう工夫しているということでした。

『論語』を学ぶことで日本に根付いている中国の文化を知ることになります。

もうひとつ多久市が力を入れているのが子供たちへの情報通信を活かした教育でした。

電子黒板をいち早く導入したり民間企業の協力も得て小中学生一人一台パソコンを実現しました。

文部科学省が進める情報通信を活用した教育、GIGAスクール構想の先進都市です。

甚句18000人の小さな市が日本をリードしているのです。市としての生き様です。

中国の古典を学びその一方で最先端の情報通信を使って学習できるのが多久市です。

横尾市長は古典を学ぶことと最先端技術に触れることで「温故創新」を目指すと語ってました。

横尾市長が最後に学生に呼びかけたのは留学に挑戦して欲しいということでした。

内向きだと言われる日本の学生たちに外に目を開いてという大切なメッセージでした。