電車の中で本を読むのは私の喜びです。長時間電車に乗れるとウキウキします。最近悩みの種があります。老眼です。小さな字が見にくくていけません。

小さな字の文庫や新書を読むのがきつくなってきました。特に古い本は字が細かくて困ります。ところが字も大きく気軽に読める本もあります。

ブックレット。冊子をちょっと厚くした本です。岩波書店のブックレットのラインナップが充実してます。電車の中の読書もブックレットが多くなりました。

つい最近『内村鑑三をよむ』という岩波ブックレットを読みました。若松英輔さんという40代の批評家の著作です。目からウロコ、夢中になって読みました。

内村鑑三は明治大正の日本を代表するキリスト教の思想家です。日本の道徳的に優れた偉人を世界に紹介した『代表的日本人』を書きました。

この本は私の愛読書です。しかし肝心要のところを見落としていました。内村鑑三は、なぜこの本を著したのかを見ず偉人の伝記として読んできました。

内村鑑三は、勤めていた高等学校からの追放や信者の仲間からの糾弾など波乱万丈の人生を送ってきました。そこから光を見出して生き抜きました。

こうした内村鑑三の生き様が『代表的日本人』の土台をなしています。一般に苦難と見える事象をチャンスと捉えて内面を磨き乗り越えます。

なぜそうした思いを持てるのかといいますと絶対的な存在に一体となって生かされているいう視点から人生を見つめれば苦難はひとつの通過点に過ぎません。

内村が挙げた代表的な日本人は、西郷隆盛、上杉鷹山、二宮尊徳、中江藤樹、日蓮の5人。共通するのは「天」に導かれて人生を拓いていることだと著者は書いています。

特に西郷隆盛です。第一章に置きました。内村にとって格別の思い入れがあったと指摘してます。西郷が好んだ言葉は「敬天愛人」、天を敬い人を愛す。

常に絶対的な存在である「天」と向き合い自らの欲望を退けました。そして時期が来たと確信したならば死を恐れずに果敢に行動しました。

内村は西郷を天を信仰しその意のままに生き抜いた人物として捉えていたと著者は語ります。それは内村の人生でもあったと著者は書いています。納得です。