日本は、グローバル資本主義の魔の手から逃れられるのか。

カナダの女性ジャーナリスト、ナオミ・クラインが書いた『ショックドクトリン』。グローバル資本主義がいかに悪辣かを描いた作品です。

2007年に出版されて世界的に反響を呼びました。日本での翻訳はかなり遅れて2011年9月です。岩波書店から出版されました。

上下2巻で856ページ、結構分厚いです。選挙運動が続きました。読まなければと思いつつ手に取れないままに時間が過ぎてしまいました。

『ショックドクトリン』を元にドキュメンタリー映画ができました。昨晩、東京都内で上映会がありました。観てきました。日本も危ういと思いました。

軍事独裁政権と結託して国の経済構造を市場原理主義に変えていく。ノーベル経済学賞を受賞したアメリカシカゴ学派のミルトン・フリードマンが旗を振ります。

格差が広がります。民衆の反発は弾圧します。一方で金持ちやアメリカの企業は大儲けします。チリ、アルゼンチン。1970年代南米で実際に行われた事実です。

民衆の不満をそらす手段も用意されました。アルゼンチンでは経済危機のさなかの1978年、サッカーのワールドカップが行われ民衆は熱狂しました。

民主主義国のイギリスでもショックドクトリンは展開されました。1979年サッチャー政権の誕生で市場原理主義が導入され民営化が進みました。

南米と同じように格差に拡大に対して民衆の反発が起こりました。サッチャーは窮地に陥りました。救ったのは1982年のフォークランド紛争でした。

サッチャーはアルゼンチン都の領土紛争に勝利を収め一躍救国のヒロインとなりました。もはやサッチャーの行く手を阻む者はいなくなりました。

イラク戦争のあと復興にかこつけて儲けているのはアメリカの企業です。戦争自体も民間企業が請け負う時代で、民間企業の兵士の割合が軍隊を上回りました。

アメリカは自国の大災害をも儲けの種にします。2005年のハリケーンカトリーナの襲来で破壊された南部の諸都市。学校再建のために民営化が提唱されました。

ナオミ・クラインさんは、映画の中でグローバル資本主義は、民衆の無知につけ込んでくる。事実を知り黙っていてはダメだと訴えます。

日本にもあからさまに魔の手が伸びています。TPPはその典型だと思います。グローバル資本主義は日本市場を完全に支配下に置こうとしています。

東京オリンピック、近隣諸国との領土問題。秘密保護法。真の狙いから民衆の目をそらすとともに、反発を押さえつける手段も準備されています。

 

 

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