現代時代劇考
最近妙に時代劇が懐かしく思えて見る機会が増えています。『大岡越前』を見ました。
NHKBSで放送してました。加藤剛さんのではなく東山紀之さんのです。
シリーズで放送されているらしく「6」となっていました。現代の世情を意識してました。
江戸市中にはしかが流行、オランダ由来の特効薬が底を着いてしまいました。
危機的状況なのにもかかわらず世界に門戸を開けない鎖国の日本に警鐘を鳴らしてました。
幕府の規制に安住している薬問屋と甘い汁を吸っている幕閣の悪だくみが暴かれました。
最後は一件落着となるのですが物語構成が加藤剛さんの時代より複雑になっていました。
日曜日の早朝6時10分よりNHKで『雲霧仁左衛門』という時代劇を放送してます。
これがすこぶる面白くてはまってます。2013年にBS時代劇で放送されたものです。
『大岡越前』が正統派の時代劇とすればこちらは悪党であり正義の味方というパターンです。
盗みのプロと捕り物のプロの虚々実々の駆け引きが物語のメインストリームです。
原作は時代物の第一人者の池波正太郎さんです。手の込んだ仕掛けが満載です。
悪徳商人が登場しその悪事がばれて懲らしめられるという落ちは必ずあります。
主役は中井貴一さん、最近は『サラメシ』のナレーションの方が有名ですが本業は役者です。
周りを固める役者も揃っていて、黒沢映画の配役みたいな感慨を持ちました。
サスペンス物のエンターテイメントとして優れた時代劇だと感心しています。
しかし底流を流れる時代劇としての本質は変わりません。正義は勝つのです。
時代劇に惹かれるのは正義が廃れている現状にイラつく気持ちがあるのだと思います。
安倍前総理、政界で勢力を誇示していようとも「モリカケ桜」の不始末は政治を貶めています。
プーチン大統領の力の政治を止めることのできない弱腰民主主義には落胆してます。
正義の味方はいないのかと心の中で叫んでいる時に時代劇に再び遭遇しました。
見終わった時、心が浄化されるのです。正義は勝つんだと背中を押される気分になります。
時代劇が受け入れられる条件が再び整ってきているのではないでしょうか。
少なくともかつて時代劇を見るのが当たり前だった私たちの世代は受け入れると思います。
ぐっと若い世代の気持ちはわかりませんが正義に飢えていると思えてなりません。
『大岡越前』のような正統派すぎる物語は若い世代は受け付けないでしょう。
言い方はきついですがくさ過ぎます。もっとクールにいかないといけません。
『ゴルゴ13』みたいなニヒルなヒーローの時代劇ならいける…。発想が古いかな…。