白井聡『永続敗戦論』を読む。2

白井聡さんは『永続敗戦論』の中で昭和天皇が敗戦をどう受け止め、どのような行動をとったのかについても言及しています。戦後史を考える上で避けては通れません。

関西学院大学教授の豊下楢彦さんの『安保条約の成立』や『昭和天皇・マッカーサー会見』を土台にしてひとつの見方を明確に示しています。

昭和天皇が在日米軍の駐留を積極的に望み、アメリカの力を借りて共産主義の脅威から日本と天皇制を守ることを意図したということです。

昭和天皇は1945年9月27日のマッカーサーとの会見で全ての責任を負う姿勢を示し、感動したマッカーサーが天皇制の存続へと流れを作ったとされています。

豊下さんの一連の著作はこうした定説に実証的に反論をしたものです。豊下さんは昭和天皇は沖縄の占領まで許容したと推論しています。

白井さんは豊下説を採用し戦後の構造の本質部分を結論づけています。戦後の天皇制はアメリカに支えてもらうことで維持されているということです。

私はこれまでの定説は出来すぎているという疑いを持っていました。豊下説に基づく白井さんの見方は説得力があると思いました。

昭和天皇であっても自らの身を守るためにはアメリカにすがらざるを得なかったところに敗戦の厳しい現実があると見た方が良いのではないでしょうか。

日本の戦後は、天皇制を含めて全てアメリカに差配されて始まったという現実に改めて向き合う必要があります。今も依然として続いている体制です。

昭和天皇でさえアメリカにすがって自らの存続を図ったということになると