白井聡『永続敗戦論』を読む。3

白井聡さんは『永続敗戦論』の最後で「戦争責任を極めて不十分にしか問うていないという戦後日本の問題をあらためて指摘したに過ぎない。」と述べています。

謙虚な言い回しで総括していますが、戦争責任という古くて新しい問題を30代の若き学究が真正面から取り組んだ姿勢に私は敬意を評します。

平和憲法を押しつけと批判しながら対米従属に甘んじる親米保守勢力、平和憲法の押し付けの事実を見ずに護憲を主張する左翼。両者の矛盾を突きました。

戦後の日本は、全てアメリカの戦略の枠内で仕切られました。戦争責任の問題も天皇制の存続を前提にした段階であいまいなまま始末せざるを得ませんでした。

憲法が押し付けでないという議論は事実をみていません。一方、それをけしからんというのならば戦後処理をすべてひっくり返す覚悟がなければなりません。

親米保守勢力も、護憲左派も盃程度の小さな枠内で角突き合わせていたに過ぎません。子供じみた言い争いの時期は完全に過ぎ去りました。

日本の戦後を作ったアメリカの力が弱まっているからです。子供じみた喧嘩を許してきた枠組み自体が大きく揺らいでいる事態に目を向けなければなりません。

白井さんは今後の日本の進路については語っていません。しかし、白井さんの鋭い現状分析を踏まえれえば自ずと今後の対応の道筋が見えてきます。

まずはサンフランシスコ体制を認めることです。これを前提にしないで日本国内だけで通用する理屈をいくら振りかざしても国際的な信頼は得られません。

その前提にたってきちんと戦争責任を認める必要があります。侵略の事実は否定できません。言いたいことは我慢すべきです。臥薪嘗胆の一言です。

こういった姿勢を堅持することで初めてアメリカに対しても中国に対しても韓国や北朝鮮に対しても堂々と主張ができます。

押し付けられた平和憲法は大きな財産であり武器にもなります。アメリカの理想を受け入れて平和で豊かな国を作ってきた事実に自信を持つべきです。

そして二度とアメリカの手前勝手な国際戦略に幻惑されて戦争へと誘い込まれないよう自制心のある対応を徹底する必要があります。

中国に対して喧嘩はいかに無益かを問い続け国際世論を味方につけることが大切です。平和への国際世論は、中国が冒険主義に陥るのを防ぐ防波堤です。