小田原市の加藤前市長の再出馬…ありと見た!

神奈川大学の政策過程論も残り2回、ゲストは小田原市の加藤憲一前市長でした。

加藤さんは私が開成町長だった2008年5月、”チェンジ!”を掲げさっそうと登場しました。

同年11月アメリカでオバマ大統領が当選しました。”チェンジ!”がスローガンでした。

加藤さんの方が一足早かったわけです。神奈川県西部に新風を吹き込みました。

3期12年市政を担い市民参加に徹底的にこだわりボトムアップのまちづくりが特徴でした。

私とまちづくりのスタイルが対照的です。私はトップダウン型です。

類は友を呼ぶとの言葉があるように私の親しい首長はトップダウン型が多いです。

一連の講義でゲストに招いた首長もそうでした。異なるタイプの方を呼びたいと考えました。

すぐに頭に浮かんだのが加藤さんでした。講義は充実していて学生も真剣でした。

加藤さんが用意したスライドは100枚です。驚きました。何とか1時間で収まりました。

結論は「人の力こそは信じるに足る」という言葉でした。加藤さんの市長体験の総括でした。

加藤さんはまちづくりの様々な局面で住民の力を信じ委ね続けてきました。

途中経過ではトラブルがあったとしても住民側の協力は得られアイデアが飛び出すというのです。

私が特筆すべき取り組みとして挙げたいのは「環境志民ネットワーク」です。

市民ではなく「志民」としているところがみそです。市民の高い志を信じたのです。

ぶりが戻るような森を創ろう、メダカの再生、野鳥の保護など各種事業が誕生しました。

もうひとつエネルギー自給プロジェクトも斬新です。エネルギノー地産地消は先駆的です。

生ごみの減量化のため段ボールでたい肥化を考え出したのも優れたアイデアです。

ここまで並べてみると加藤さんのまちづくりの哲学が垣間見えてきます。

住民参加で持続可能な地域を創造しようというのです。いわゆるSDGsです。

加藤さんは「命を守り育てる地域自給圏」という言葉を使いまとめていました。

10年も前からSDGsの哲学でまちづくりに取り組んだのは賞賛に値します。

しかし加藤さんは2020年5月の市長選で敗れました。コロナのまん延が始まった時です。

市民病院でクラスターが発生する不運もありました。対抗勢力に叩かれました。

今は休耕田を活用し農業に取り組んでます。まだ58歳。市長に再挑戦すべきと伺いました。

自分から動くことはなく天命に従うという趣旨の受け答えでした。

周囲から切望されれば出馬すると受け止めました。期待感は高いですので出ると確信しました。

敗戦の失敗を糧にしてニュー加藤としてリベンジを果たして欲しいと思いました。