~微力だけど、無力じゃない!~
神奈川大学2022年度前期政策過程論最終回のゲストは元長野県知事の田中康夫さんでした。
講義前に田中さんよりタイトルが送られてきました。考え方が凝縮されてました。
~微力だけど、無力じゃない。~閉塞するニッポンの「あり方」を変える!
ミレニアムの年2000年10月田中さんは人気作家から長野県知事へと転じました。
田中さんを押し上げたのは選挙で定番の組織や団体ではなく普通の市民たちでした。
”微力だけど、無力じゃない”という言葉はこうした体験から出たものだと思います。
田中さんの選挙演説はいわゆる「演説」ではありません。語りかけです。
講義でもしばしば「あなたはどうですか」と学生に声をかけてました。
無力と思われているごく普通の人たちの力を信じているのだと思います。
こうした発想の延長にあるのが小ささへの愛着です。小ささを大切にします。
田中さんが知事を務めた6年間は総務省が旗を振り市町村合併推進の時代でした。
田中さんは流れに抗しました。福島県の佐藤栄佐久知事と2人だけだったと話していました。
小さいからこそ質を高めることができるという考え方が根底にありました。
当時の長野県下条村の村長から下水道普及率ではなく水洗化率が大切だと教えてもらいました。
下水道ではなく小さな合併浄化槽を使ったほうが農村地域に適合していると考えを改めました。
小さいから質を高められるという田中哲学の面目躍如という感じを持ちました。
田中さんは小さな市町村の枠内の物語として事例を紹介しているのではありません。
タイトルの副題に閉塞するニッポンの「あり方」を変える!とありました。
衰退の一途をただりつつある日本を立て直す処方せんだと考えています。
微力だけども無力ではないごく普通の市民が結束することがまず第一です。
結束した市民たちが小さな範囲から地域を変えることが日本を立て直すとの発想です。
私はこの発想に賛同します。目に見える範囲、小さな市町村は変革の舞台なのです。
田中さんは講義の中でフランスの小規模な市町村のユニークさを紹介していました。
チーズ好きならみなが知っているカマンベール。フランスの数百人の村で作られています。
日本でも応用可能です。傑出した個性を発揮する市町村が続々登場すれば閉塞日本は変わります。
田中さんは昨年8月の横浜市長選に出馬し完全無党派で20万票近い得票を得て大善戦でした。
講義の中では触れられなかったので巨大自治体の首長への挑戦の真意を質問しました。
様々な知恵で横浜を変え日本に強烈なインパクトを与えることが狙いだと受け止めました。