岸田総理の国葬”決断”の謎
19日の神奈川大学の政策過程論で”決断”の由来を初めて知りました。
ゲスト講師の田中康夫元長野県知事が講義の中で解説してくれました。
治水に深く関係します。堤防を築くかどうか決めることがもともとの意味だということです。
中国で治水の神と讃えられる古代中国の伝説の王、禹(う)の治水から生まれた言葉でした。
ぎょっとしました。私たちの地域を流れる酒匂川の治水の難所に禹を祀る神社があるからです。
堤防を断つことを決めるということはあえて堤防のないところをつくることでもあります。
「かすみ堤」です。堤防が切られていて洪水時には遊水地となる場所です。
絵図によれば江戸時代の酒匂川には無数のかすみ堤がありました。3か所残ってます。
「決」という文字に水を意味する「氵」(さんずい)がついている意味が解りました。
堤防を断つことを決めることは治水において決定的に重要だったのです。
決断するということはその土地の住民の生死を左右する重大事でした。
現在の日本の政治状況の中でその「決断力」を示したのが岸田総理です。
安倍元総理の国葬を一気に決断しました。9月27日と報じられてます。
優柔不断のイメージと今回の決断とのギャップが依然わだかまっています。
何が岸田総理をここまで「決断の人」にさせたのか納得できる理由が見当たらないからです。
どこからか強力な「天の声」でも降りて来たのではないかと思うほどの迅速な決断でした。
2020年当初からのコロナ禍で国民の方は葬儀も自粛が続いてきました。
大掛かりな葬儀は目にしません。近親者だけで済ます形態ばかりです。
安倍元総理だけは国葬に値すると国民が文句なしに納得する理由が見つかりません。
非業の死を遂げたので民主主義を守る姿勢を示すというのが最大の理由です。
政治的な評価は既にブログで述べたように定まる段階ではありません。
国葬を実施することで政治的評価を一方的に強制し神格化する恐れがあります。
安倍元総理の業績を評価する人であってもこうした懸念は持つと思います。
自民党の茂木幹事長は国葬に反対する一部野党に対し批判めいた言葉を投げました。
神奈川県の黒岩知事は国葬は当然で政争の具になるのは悲しいと述べたと報じられました。
そうは思いません。与野党間の意見調整もなく岸田総理は即断即決しました。
反対意見が出る方が自然です。賛成の方でも消極的賛成の方も相当数いると思います。
話しを元に戻します。決断力に欠るとの批判が付きまとっていた岸田総理の大変身の理由です。
思案してもすとんと肚に落ちません。「天の声」ではないかという結論に達しそうです。