決断の岸田から人事の岸田へ?

岸田総理は人事へのこだわりが強く意外に策士だと思いました。

昨年秋の政権スタート当初は安倍元総理や各派閥に配慮し自前の人事とは言えません。

安倍元総理の側近の萩生田さんを経産大臣にしたのがささやかな抵抗でした。

安倍元総理は萩生田さんを幹事長か官房長官に据えることを希望していたとされます。

岸田総理が自前人事の片りんを見せたのは甘利幹事長の交代人事の時でした。

外務大臣から幹事長に座った茂木さんの後任に自派閥の林芳正さんを充てました。

安倍元総理らから異論がささやかれていた中で自らの意志を通しました。

今回の人事で萩生田さんを閣内から外して政調会長に持って行きました。

手の込んだやり方です。個別会談をしました。萩生田さんだけ特別扱いでした。

結果的に見ると外したいという本心を見破られないようなでる儀式だったと思います。

萩生田さんは舞い上がって「俺は骨格じゃないのか」などと放言しました。

岸田総理は内心策にはまったとほくそ笑んだはずです。外す環境が整ったのです。

後任の経産大臣には前のコロナ担当大臣の西村康稔さんを登用しました。

岸田さんの好みが出ています。岸田さんは東大出のエリート官僚が好きみたいです。

再々登板の加藤厚労大臣らずらり並びました。抜てきされた小倉少子化大臣も東大日銀です。

萩生田さんを遠ざけ萩生田さんのライバルの西村さんを花形ポストに据えた格好です。

萩生田さんは党と内閣の調整の汗かき仕事。西村さんは目立ちます。

萩生田さん、岸田総理にしてやられたと思っていると思います。

政調会長だった高市早苗さんを野に放り出すことはしませんでした。

閣内に取り込みタカ派の面々からの攻撃の盾にしようとしたと思います。

人気の河野太郎さんとともに支持率低下の防波堤にとの期待もあるはずです。

私が人事の岸田ではないかと感じたのは森山前国対委員長を選対委員長にしたことです。

衆議院選挙区の見直しという超難問が控え公認調整は難儀を極めます。

老練な森山さんに白羽の矢を立てたのは慧眼です。なかなかの一手です。

選対委員長だった遠藤利明さんを総務会長にしたのは森元総理への配慮です。

森さんの子分の遠藤さんを処遇し安倍派に対し隠然たる影響力を持つ森さんをくすぐりました。

岸田総理は手を尽くした気分でしょう。だからといって盤石とは言えません。

旧統一教会がらみ何が飛び出すかわかりません。国葬への批判は根強いです。

コロナはしぶとく、防衛費は難問です。物価高は収まる見通しは立ちません。

岸田総理が目指す「難局突破」「政策断交」に向け予断を許さない展開が待っていると見ています。