沖縄県知事選挙、辺野古移設反対派に再び神風

沖縄県知事選挙の最大の争点は普天間基地の名護市辺野古への移設です。

投開票日は9月11日で21年前のアメリカの同時多発テロ事件と同じ日付です。

不思議なもので何かが起こるかもしれないという気分を搔き立てます。

しかし異変は起こらず現職の玉木デニ―知事が再選される可能性が高いと思います。

前回は玉城知事が40万票近くを得ました。得票差は8万ありました。

玉城知事を支えたのは保革を越えて辺野古移設に反対する「オール沖縄」体制です。

シンボルだった翁長雄志知事が病を得て急死した後の弔い選挙でした。

「オール沖縄」体制はほころびが生じていました。翁長知事の死が全てを吹き飛ばしました。

沖縄は情に厚かったです。最終的には雪崩現象が生じたように映ります。

今回も前回と同じ玉城知事と佐喜眞淳前宜野湾市長との激突と見られてきました。

伏兵が登場しました。元衆議院議員の下地幹郎さんが出馬に踏み切りました。

下地さんが玉木さんと佐喜眞さんの勝敗の帰趨を握る存在として登場したのです。

下地さんは保守系の政治家です。自民党が推す佐喜眞さんに打撃なのは確かです。

下地さんの主張は普天間基地の辺野古移設に対して折衷案を出してます。

埋め立てについては撤回し陸上部分の基地建設は容認するという態度です。

反対なのか容認なのかあいまいな主張です。移設反対派に影響を与える可能性はあります。

しかし保守票の一部が下地さんに流れるというのが常識的な見方です。

安倍元総理の国葬への反対世論、旧統一協会と自民党との関係への嫌悪感もあります。

下地さんの登場は政府・自民への逆風を助長する促進剤になったと見ます。

結果的に辺野古移設反対派にとっての神風的な存在になったと思います。

玉城、佐喜眞両氏の真っ向勝負となると予断を許さないと見られていました。

7月の参院選は辺野古移設反対の現職に対し容認を明言した自民新人が挑みました。

自民新人は敗れたものの2888票差まで肉薄しました。知事選の激戦が予想されました。

この局面で下地さんが飛び出してきたのです。神風以外の何物でもありません。

前回は翁長知事の死去という大風でした。今回はそれに比べれば微風です。

数万の票の動きが勝負を決します。票数は小さくても勝敗の決定的要素となります。

沖縄県知事選挙をめぐる動きは目に見えない力が辺野古移設を阻止しているかのようです。

自民が盛り返せるとしたらコロナで傷んでいる沖縄の地域経済の振興です。

しかし沖縄だけにばらまくのは不可能です。手詰まり感が漂います。

岸田政権にとり人事後の最初の試金石となる沖縄県知事選挙は厳しいと予測します。