続・新冷戦から第3次世界大戦へ?
昨日のブログでウクライナ人国際政治学者の徹底した対ロシア抗戦論を紹介しました。
ロシアの侵攻を止めるには軍事力で対抗すること以外にあり得ないと断言してました。
プーチンの戦争という見方ではなくロシアという国の本質が戦争を招いたとの見解です。
一方で今回の戦争を引き起こした真の原因はロシアではないとの主張もあります。
今年4月NHKEテレでロシア軍事侵攻について世界の有識者に聞く番組がありました。
そのうちのひとりが欧州復興銀行総裁を務めたフランス人のジャック・アタリ氏でした。
「アメリカという国は常に敵を欲する」という趣旨の発言をしたことが印象に残ってます。
アメリカにとってロシアは必ずしも厄介者ではなく必要悪と見ているという趣旨だと思います。
ロシアの軍事侵攻よってヨーロッパ各国は団結してロシアに立ち向かうことになりました。
中立国だったフィンランドとスウェーデンが方針転換しNATOへ加盟申請を行いました。
ヨーロッパとロシアの間に深い溝ができたことはアメリカの国益にかなっている面があります。
結果的にアメリカは戦争で国益を得たことになります。見過ごすことができない一面です。
アメリカの戦略に関しより露骨な意図が存在したと推理している知識人もいます。
著名な人類学者のエマニュエル・トッド氏です。アタリ氏と同じくフランス人です。
『第3次世界大戦はもう始まっている』との刺激的な題名の新書を出しています。
プーチン大統領はウクライナのNATO化に強い警告を発してました。
このメッセージを無視しウクライナへの軍事支援を続けたのがアメリカとイギリスでした。
ロシアはウクライナの軍事力が強力になり手遅れにならないうちに叩いたのが真相と見ています。
ロシアの軍事侵攻ばかりに目を奪われるのは表面的だというのです。
しかし強引に侵攻したロシアも誤算続きです。ウクライナの抵抗の強さを見誤りました。
トッド氏に言わせるとアメリカ製の優れた武器とウクライナ兵の士気の高さの相乗効果です。
ロシアの軍事力が言われるほど強力ではないことが明らかになったことは事実です。
こうなるとウクライナ軍は引きませんしもちろんロシア軍も面子がかかってます。
こう着状態となり長期戦との見方になります。ウクライナ人の国際政治学者と一致します。
トッド氏は長期戦になれば西側の国内世論の動向がカギを握ると述べてます。
エネルギーや食糧価格の高騰はロシアに経済制裁をかけている国々の経済を直撃します。
西側がどこまで一致してロシアに対抗できるかの方が問われているとトッド氏は見ています。