園児置き去り死亡事故が暴いた問題の本質
今月5日静岡県牧之原市の保育園で3歳の女児が送迎バスに置き去りにされ死亡しました。
放置された時間は5時間、持っていた水筒は空でした。痛ましさが募ります。
昨年7月にも福岡県中間市で5歳の男児が9時間放置され熱中症で亡くなりました。
私は自宅にいる時は孫の幼稚園への送迎が日課です。園に近いので徒歩で行き来します。
幼稚園の入り口で送迎バスとしばしば一緒になります。園長先生や保育士さんたち大忙しです。
マイクロバスいっぱいの園児です。園児たちを安全にバスから降ろしたり乗せたりです。
バスは2台、1便から3便まであります。一日の大仕事のひとつです。
牧之原市の事故は6人の幼児の点検を怠ったとのことです。率直に言ってお粗末です。
素人でも車内に子供が残っていないかどうかぐらいは点検します。
少人数ですのでたいして時間はかかりません。常識的に考えられません。
毎日全国各地で数えきれないほどの園児送迎バスが走っているはずです。
大多数は厳格に管理し事故が起きないよう安全に心掛けているはずです。
ごくごく少数が怠慢によりこうした大事故を起こしてしまい大騒ぎを引き起こします。
騒動の典型例が突如国が動き出すことです。今回もそうです。政府が通知を出しました。
内閣府と文科省と厚生労働省の関連部局の連名で注意喚起の通知を発出しました。
中2階の都道府県がしゃしゃり出て通知を各市町村に送り最後は現場へと流れます。
注意喚起は悪いことではありませんが現場を知らない人たちが騒ぐことで問題は解決しません。
今回の事件が極めてまれな怠慢事故か他にも波及が考えられるか注視することが大切です。
警察の捜査を待って現場目線で改善策を検討することになります。
事件が起きるとすぐに監督官庁が大きな顔をして改善策を講じるよう命じる構図は滑稽です。
現場を知らずに机の前で策を考えている人たちだけの知恵では限りがあるからです。
一方現場にも課題があります。園長らの姿勢から責任感が希薄に見えて仕方ありません。
報道でしかわかりませんがこれだけ重大な過失を犯した責任者の対応とは思えません。
保護者会の開催も記者会見ももう少し早く行うべきだったのではないでしょうか。
そもそも園長がすぐに全責任を負う姿勢を示すような組織なら事故はないのかもしれませんが。
現場の責任感が希薄で、管理する行政は机上の論理で動く。はざまで事故が発生しました。
今回の痛ましい事故は特殊事例だとはいえ現代日本社会の病を暴き出したように見えます。
現場の無責任と管理者の机上の論理という負の相乗効果が事故の背景に横たわっているからです。