25年前のブレジンスキーの予言

ズビグネフ・ブレジンスキーというアメリカの著名な国際政治学の研究者がいました。

カーター大統領の安全保障担当補佐官を務めた人物として知られています。

日本は自立国家でないとズバリ指摘した『ひよわな花・日本』という著書もあります。

ブレジンスキーが冷戦終結後の世界情勢を見通した『世界はこう動く』を読みました。

四半世紀前の1997年の出版です。ヨーロッパ情勢の予言の正確さに舌を巻きました。

1991年にソビエト連邦が崩壊し東ヨーロッパ諸国のロシア離れが進んでいた時期です。

アメリカから見れば望ましい傾向です。ブレジンスキーはウクライナに注目してました。

ロシアにとってウクライナは同じスラブ民族系の同志と見立てている国です。

この国がロシアから離反することは到底許容できない事態です。

ロシアからヨーロッパを見渡した時ウクライナの位置はヨーロッパにつながる回廊です。

この国が閉ざされてしまえばヨーロッパとのつながりに重大な制約が加わります。

ウクライナの離反の動きがあれば欧米とロシアとの間で厳しい対立状態になると見ていました。

欧米とロシアとの間のいわば火薬庫的存在がウクライナだという分析です。

25年後まさにブレジンスキーが予言した通りの事態が起こってしまいました。

ロシアの軍事侵攻から半年が経過してからウクライナの反転攻勢が顕著です。

2014年に電撃作戦でクリミア半島を制圧したロシア軍の迅速果敢な動きとは大違いです。

隊員の士気は低下し補給路を遮断され東部地域の占領地から撤退と報じられました。

アメリカなど西側諸国から供与された最新兵器が威力を発揮したということです。

ロシアは侵攻の拠点としてきた都市が奪還され軍事作戦の進行が厳しくなりました。

これから冬にかけて戦局が大転換する可能性も出てきたとの見方が出てます。

ゼレンスキー大統領は全ての領土の奪還を宣言してます。自信を深めているように見えます。

プーチン大統領のロシア国内の支持基盤は情報統制の徹底もあって盤石です。

戦死者の増加で劣勢が国内に明らかになった後どのような変化が生じるかです。

地方議会で反発の動きと報じられました。国内のわずかな動きに目を凝らす必要があります。

外交上のちょっとした動きも見逃せません。研究者や評論家の目利き度合いが計れます。

ウクライナの攻勢がただちに停戦やロシアの撤退につながらないのが悩ましいところです。

力の信奉者のプーチン大統領が核を使用する可能性も頭をかすめます。

ウクライナを支えるアメリカが説得に乗り出せる局面にならない限り戦争は続くと見ます。

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