国歌に見る国民気質

強大な軍事力を持つロシアに対し不屈の抵抗を続けるウクライナの胆力に敬服してます。

北海道がロシアに攻められた時に日本はウクライナばりの抵抗精神を示せるか心もとないです。

ウクライナの国歌の歌詞の翻訳を見て抵抗の原点を垣間見た感じがしました。

「ウクライナの栄光は滅びず 自由も然り
運命は再び我等に微笑まん

朝日に散る霧の如く 敵は消え失せよう
我等が自由の土地を自らの手で治めるのだ

自由のために身も心も捧げよう
今こそコサック民族の血を示す時ぞ!」となってます。

自分の国土は自ら身を挺して守るという決死の覚悟がひしひしと伝わってきます。

「コサック民族の血を示す時ぞ!」という箇所が特に響きました。

コサックとは14世紀ごろからウクライナやロシアの一部に定住した集団のことです。

没落貴族や都市の貧民、逃れた農民など行き場のない人々が武装して住んだと言われます。

「コサック」には「自由な人」「向こう見ず」という意味があるとのことで性質が伺われます。

さすがのプーチン大統領もウクライナ人の魂レベルの頑強さは読み誤ったようです。

世界の国歌を見ると戦いを強調し国民を鼓舞する歌詞ばかりが目立ちます。

アメリカ国歌の「星条旗」は独立前のイギリスとの戦争がモチーフとなった歌です。

2番の「砲弾が赤く光を放ち宙で炸裂する中我等の旗は夜通し翻っていた」との歌詞が象徴です。

「ああ、星条旗はまだたなびいているか?自由の地 勇者の故郷の上に!」と続きます。

有名なフランス国歌「ラ・マルセイエーズ」は「武器を取るのだ我が市民よ」と歌ってます。

世界の国歌の中で一般の傾向と異質な国がふたつあります。イギリスと日本です。

イギリスは「God save the Queen」です。「神よ女王陛下を守り給え」です。

エリザベス女王が逝去され国民の敬愛の念がいかに深いかが改めて示されました。

うたいつがれている国歌にそうした国民の心情が現われていると思います。

チャールズ国王が即位したためこれからは女王から「the King」になるとのことです。

日本は、「君が代」です。女王でも国王でもなく天皇が国家となっています。

「君が代は 千代に八千代に さざれ石の いわおとなりて
苔のむすまで」

曲調はゆったりですが、世界で最も短い歌詞の国歌ではないかと思います。

平安時代の古今和歌集の中の詠み人しらずの一首だということです。

日本統合の象徴、天皇の世が永遠に続くようにという意味になります。

ユーラシア大陸をはさみ西と東の島国のイギリスと日本が似通った国歌というのは不思議です。