もうひとつ・黄昏時の日中関係を考える

台湾との友好を進める超党派の国会議員連が今月台湾を訪問します。

議連は「日華議員連盟」で代表は古屋圭司衆院議員、幹事長は岸信夫前防衛大臣です。

訪問する目的を明示し中国に向けてメッセージを発することが大切だと思います。

アメリカの大物議員が続々と台湾を訪問するのを後追いしている印象は避けて欲しいです。

50年前日中国交が正常化された際いちばんの懸念は台湾との関係でした。

中華人民共和国と国交を正常化することは中華民国すなわち台湾と断交となります。

当時自民党では青嵐会というすご腕のタカ派集団が結成されていました。

29日の日中茶話会でも青嵐会が話題となりました。自民党執行部は戦々恐々でした。

タカ派集団を抑え台湾との一定の関係も継続する道を作らなければなりません。

この難事をやってのけたのが椎名悦三郎氏です。元商工省の官僚政治家です。

旧満州国でらつ腕を振るった岸信介氏の片腕として働いたこともあります。

日中国交正常化当時椎名氏は自民党副総裁で台湾に政府方針を説明する特使でした。

損な役回りですが泥をかぶる人がいなければ歴史の歯車は回りません。

台湾との間で信頼関係があるからこその人選です。こうした政治家は日本の財産です。

今日の日本の政治家で難局に火中の栗を平然と拾う政治家がいるか気がかりです。

政治家として決死の覚悟で乗り込むしかない局面への対応力は理屈ではなく胆力です。

目立つことばかりを考えている政治家が多いこと自体が日本の危機だと言えます。

議連として台湾に向き合うためには台湾を支援する哲学を持たなければなりません。

アメリカのお先棒を担いだり追随する姿勢だけでは台湾の指導者たちに軽べつされます。

台湾は総統選挙を実施し自由と民主主義を自ら確立しました。敬意を払うことが大切です。

中国本土の中国共産党の一党独裁体制とは明確に区別ができ支援する根拠となります。

もうひとつ国交正常化によって一つの中国を認めたとはいえ大前提があることです。

台湾問題を平和裏に解決することを期待し国交正常化したことは大原則です。

中国が言うように台湾は内政問題だから口出しをするなという姿勢は容認できません。

大原則を踏みにじる時は日本として主張することは至極当然のことです。

ただし日本政府として台湾を認めたかのように受け止められる行為は信義に反します。

この一点に留意し台湾との関係を強化することは何ら問題はないと思います。

とりわけ先端産業分野や観光といった台湾との経済交流の進展は期待するところ大です。

中国に対する日本のメッセージにもなり日本の経済再生にもつながります。