岸田総理、親父の背中を見せられるか

岸田総理、支持率低迷の厳しい局面が続いてます。思い切った決断を下しました。

長男を政務秘書官に登用しました。批判や憶測を呼ぶのは覚悟の上だと思います。

総裁任期はあと2年弱あります。あえてここで登用しなくてもと考えるのが常識です。

岸田家の将来の布石であって身内の論理が過ぎるとの声が上がるのは自然です。

承知の上で踏み切ったのはこのタイミングしかないと総理が判断したからでしょう。

政権を取り巻く環境が改善する見通しはどんなに楽観的に考えても持てません。

長男の秘書官登用を先送りした場合タイミングを失すると考えたと想像します。

どんどん状況が悪くなってから長男を登用したらさらに批判は高まるからです。

どうせ批判されるならば早いうちに断行するしかないと考えたと見ます。

長男の将来を考えた場合、総理秘書官のポストでもまれることは貴重な体験です。

岸田総理は昨年9月に総理に就任した時からいずれ長男を秘書官と考えていたはずです。

取り巻く環境が安定していれば就任時期の選択の幅は広がったはずです。

ところが安倍元総理の国葬問題や旧統一教会問題でそんな余裕はなくなりました。

政治家にとって政局の先行きは一寸先は闇です。選挙については常在戦場と言われます。

ましてや最高権力者の座に就いたものは任務を遂行できない状況となれば即危機に陥ります。

「信なくば立たず」と岸田総理は昨年の総裁選挙前に述べました。

岸田総理への国民の信頼が今まさに失われています。痛いほど感じているはずです。

岸田総理はいつ何時身を引く局面が来ないとも限らないと考えたのではないでしょうか。

長男の秘書官就任の背景には岸田総理の置かれた深刻な状況が横たわっていると思います。

岸田総理は所信表明で「厳しい意見を聞く」姿勢こそ政治家としての原点があると語りました。

しかし厳しい意見に真摯に丁寧に向き合うだけでは答えになりません。

政治家は向き合った結果どう判断し何を具体にするのかが問われます。

国葬をめぐり国民の分断を招いたと考えるのならば謝罪して初めて応えたことになります。

旧統一教会問題に政治として立ち向かうならば山際大臣の擁護は矛盾します。

難問に具体の行動として応えられずに真摯にとか謙虚にとか言っても言葉の遊びです。

岸田総理には退路を断った政治家が発する迫力が希薄に見えて仕方ありません。

長男を身近に置く決断をした以上見せなければならないのは親父の背中です。

地位にしがみつき右往左往する姿を見せるのならば反面教師になってしまいます。

長男の目に焼き付けなければならないのは捨て身の凄味です。肝に銘じてほしいです。