”辺境意識”を乗り越えて日本の未来を展望する
3月ウクライナのゼレンスキー大統領はアメリカ議会での演説で真珠湾攻撃を持ち出しました。
ロシアがおこなったのはかつて日本が行った奇襲攻撃と同じだと訴えました。
”真珠湾を思い出せ”が今なおアメリカ人の心に響く言葉であることを示しました。
ウクライナの抵抗は強じんです。国を守る気概が半端ではありません。
苦境に陥ったプーチン大統領が放ったのが自爆型のドローンでした。
イラン製と言われます。この兵器に不愉快な名前が付いてます。カミカゼです。
第2次世界大戦末期日本軍が行った神風特別攻撃隊からつけられたのは明らかです。
戦局全体から見れば成果は期待できませんが捨て身の特攻は衝撃を与えました。
前途有為の青年たちが散華したことは彼らの精神が崇高だっただけに無念さが募ります。
自爆型のドローンがカミカゼと命名されていることは特攻の印象の強さを示しています。
それにしても日本は奇襲や身を呈した自爆攻撃にこだわるのか不思議です。
日本人特有のメンタリティーに根差していると見て良いほど根強さを感じます。
評論家の内田樹さんの著書に『日本辺境論』があります。参考となる見解が示されてます。
日本人の底流には辺境意識がこびりついていて行動様式に反映していると分析してます。
辺境意識は、大国ではなく小国、強者ではなく弱者に自国の立場を位置付けます。
この力関係の認識は、日本の有事での行動パターンを規制すると思います。
強い大国に対し正面からでは勝てないので奇襲をかけることになります。
追い込まれた時は「窮鼠ネコを食む」、無謀な自爆攻撃へと転じやすいです。
戦後日本は世界の最強国アメリカと同盟関係を結び西側の一翼を担う立場になりました。
いち時期ジャパンアズナンバーワンと言われた経済の絶頂期もありました。
この戦後体験は日本人にまとわりついてきた辺境意識を薄める効果があったと思います。
しかしバブル経済の崩壊とともに日本の強みの経済は停滞を続け人口は減少しています。
宴の時期は遠く去り現代日本は衰退の渦中にあるとの認識が急速に広がってます。
加えて日本周辺はロシア、中国、北朝鮮の脅威が高まりきな臭さが増してます。
身の丈知らずの冒険主義に走るのはご法度です。過度の臆病さも害悪です。
日本人は自画像を見つめ直し日本という国の進路を根本から再検討する時期です。
今度は戦前のように辺境意識に邪魔され短絡的な判断に陥ることは許されません。
一方でバブル時期のような浮ついた言動を繰り返すことがあってはなりません。
日本の強みと弱点を冷徹に見極め徹底した国会論議を通じ進路を見い出すのが王道です。