宗教とカルト
安倍元総理の銃殺事件をきっかけに宗教団体のあり方が問題となってます。
NHKEテレの「こころの時代」で宗教とカルトについて徹底討論する番組が放送されました。
9日と16日の2回に分けて6人の有識者が深く問題を掘り下げました。
旧統一教会の教義や信者の取り込みの手法に対し強い疑問の声が投げかけられました。
しかし旧統一教会だけに限って問題を捉える発想に対し注意喚起もありました。
カルトとは今日では宗教団体による狂信的な行動を通常意味します。
カトリック信者でもあり批評家の若松英輔さんはこの問題を拡大して捉えました。
恐怖によって信者を取り込もうとする行動、貧者から金銭を収奪する構造。
教団からの出入りの自由が奪われて束縛される状況。この三つを条件に挙げました。
これらの条件に当てはまるならばそれはカルト教団と位置付けられると指摘しました。
名前の通った伝統ある教団であってもいつ堕落するかわからないという問題提起です。
アメリカでは終末思想の危機を煽るキリスト教団の事例があるとのことでした。
日本でも信者にしようと狙いを定めた人の不幸などに付けこむやり方を耳にします。
旧統一教会はこれに加えてウソがあります。高額のツボを購入すれば救われるなどです。
しかし旧統一教会の立場に立てばこれはウソには当たりません。救済なのです。
立証は不可能ですが地獄に落ちる人をその一歩手前で救う行為となります。
これを信じてしまう人がいるのですからいかんともしがたい側面があります。
勧誘を受けてから3か月以内であれば盲信から抜け出すことは可能だということです。
1年を超えるとマインドコントロールが進み信仰から離れることはできないとのことです。
オーム真理教問題が大きな社会問題になった時にも痛切に感じた問題が繰り返されています。
第3者から見ればばかげた教義を信じ込んでしまう心理は人間の弱さを示してます。
若松さんはおカネで救いは買えないという単純明快な真理を強調してました。
政治家と旧統一教会との関係については教団全体の教義は目に入っていないと語ってました。
伝統的な家族関係を重視するなど部分的教えだけで安直に関係を持ったとのことです。
加えて選挙での無償の支援は政治家にとって何物にも代えがたかったはずです。
日本は戦前の反省から宗教とは何かを教えることに臆病になり過ぎだとの指摘がありました。
宗教に対し無防備なまま成長することがカルト教団に付け入るスキを与えるとの警告です。
一理あります。青年期に宗教とは何かを学ぶ機会を持つことが必須だと思いました。