スナク新首相で脆弱さが増すG7首脳陣

イギリスの首相にスナク氏が決まりました。インド系のイギリス人です。

貧しい階級から這い上がった不屈の政治家かとの思い込みが頭をかすめました。

大間違いの先入観でした。大富豪の家柄で本人も超エリートコースを走ってきました。

ただ、かつての植民地インドにルーツを持つ人物が宗主国の指導者になったことは事件です。

新井将敬さんという政治家がいました。東大卒で元大蔵官僚のエリートでした。

朝鮮系のルーツを持ち日本国籍を取得したことを明らかにしていました。

当選4回を重ね、若手論客として注目を集める存在になりました。

その矢先に証券スキャンダルに巻き込まれ東京地検特捜部から逮捕状が出されました。

1998年2月新井さんはホテルの一室で自ら命を絶つ選択をしました。

出自も含め強烈なプライドを秘めた政治家はぽきりと折れることがあります。

トラス首相も白人社会の中で頭角を現しました。内に秘めた対抗意識がないはずはありません。

早期に成果を見せつけようと焦ると思わぬ落とし穴にはまる恐れがあります。

2015年に国会議員に初当選ですのでわずか7年で首相の座を射止めたことになります。

日本で同じような例を探すと1993年の細川護熙さんの事例が浮かびます。

細川さんは参院議員を経て熊本県知事を2期務めた後国政に復帰して1年で総理になりました。

細川さんは熊本藩の藩主細川家直系の人物でいわば貴族の家柄です。

スナク首相と同様、上層階級の政治家です。総理大臣は7か月の短命でした。

佐川急便からの借入金問題を追及されあっさりと身を引きました。

粘り腰がないのは誇り高き上層階級の政治家の性ではないかと思います。

スナク首相を待ち受けているのは物価高にウクライナ戦争、容易ならざる難問ばかりです。

スナク首相には決定的な脛の傷があります。ジョンソン元首相への裏切り行為です。

ジョンソン首相が苦境に陥った時に財務大臣を辞任したのがトラス首相です。

苦しい時に逃げる行動は洋の東西を問わず同志から叩かれ怨念が残ります。

苦労知らずの政治家にありがちな振る舞いです。取り返しはつきません。

スナク政権は党内に爆弾を抱えながら難局に当たらなければならない宿命があります。

政局を安定させることは至難の業だと見ます。混乱と背中合わせの政権です。

G7首脳は盟主のバイデン大統領をはじめ脆弱さが目立つ顔触れが並びました。

ごり押しのプーチン大統領や絶対権力を手中に収めた習近平主席が相手です。

民主主義国の弱さが露呈し強権国家に国際秩序を荒らされてはたまりません。

民主主義国の国民が自由と民主主義、人権を守るため踏ん張る時です。