町長選挙から見える大磯町の政治構造

神奈川県大磯町と言えば風光明媚で海に面した湘南の町というイメージです。

古代には国府が置かれ江戸時代は宿場町として栄えました。近代以降は別荘地です。

伊藤博文ら多くの元勲が大磯を愛しました。昭和になると吉田茂元総理が居を構えました。

海水浴は西洋の文化を取り入れた明治に始まり発祥地は大磯だと言われます。

上記の歴史は今日の大磯町の骨格を形作っているように思います。

移住者の町というと言い過ぎですが常に外の文化を取り入れてきたことが伺えます。

土着の住民ががっちりと地域の政治を仕切りよそ者を一切排除することはありません。

そもそもよそから来た人物が地域の柱のひとつになってきたからです。

大磯町長選挙が来月27日に行われ5人が出馬表明し混戦だと伝えられます。

5人の立候補者のうち生まれ育ちが大磯町という方はひとりだけです。

才能豊かな多彩な人材が集まる町を象徴するかのようなきらびやかな経歴の方が並んでいます。

東大の工学部と医学部、早稲田の理工、東京芸大に横国の経営が出身大学です。

こうした高学歴者で争われる町長選挙は大磯町しかないと思います。

現町長の中崎久雄町長は東海大学大磯病院長を務めた医師です。

3期務め、ここで引退です。3期できたのは大磯町では異例のことです。

常に意見対立が勃発し町政の混乱とともに町長が交代となるのが通例でした。

中崎町長は懸案の東海大学大磯病院の事業継承問題を徳洲会に引き継ぐことで決着させました。

中崎町長の政治力が証明されました。腕力がなければこの町では3期町政維持はできません。

大磯町は高齢化が進んでいます。2020年段階で34.3%、神奈川県は25.6%です。

立候補者の中に若い世代がいません。政治に参加できる余裕がないのだと思います。

最も年齢が低いのは県議から転じる候補者で61歳です。若いとは言えません。

小さな町の首長は行動力が生命線で若い人に限ると昨日のブログに書きました。

若い世代の挑戦がないのは大磯町の未来を考えるといささか気がかりです。

女性の立候補者がいません。町政町議が多いことで知られているのに不思議です。

定数14のうち7人が女性で県内の地方議会でだんとつの女性議員割合です。

女性の政治参加のメッカのような町で女性の町長候補者が出ませんでした。

歴代首長も全て男性です。見えないガラスの天上があるのでしょうか。

議員としての能力はあっても首長として町をまとめ上げるには能力不足なのでしょうか。

女性町長誕生に最も近いと思っていた大磯町は意外に男性支配の政治構造が固いです。