地方地方交付税の増額で「稼ぐ力」回復・強化???

岸田政権は物価高騰対策を柱とする総合経済対策をまとめました。

補正予算案は一般会計の総額で29兆1000億円に膨らみました。

29日付の日本経済新聞は今度の補正予算案を厳しく論評しています。

社説の見出しは「巨額の痛み止めを盛る経済対策の危うさ」となっていました。

社説の懸念の中核は額が巨額になった上に財源は借金ではないかということです。

将来につけを回すやり方はもはや限界に来ているとの問題提起です。

イギリスのトラス前政権は大幅な減税案を発表し為替相場の混乱を引き起こしました。

財源の裏付けがないため財政危機が深刻化するとの見方が市場を支配したためです。

日本では日銀が大幅な金融緩和を継続する明言し長期金利の上昇を抑え込んでいます。

イギリスとは事情が異なるとはいえ国債に頼り続ければ財政の悪化は明らかです。

ただでさえ国地方合わせて1200兆円の国債残高がある異常事態です。

不思議なのは様々な課題を手当てする施策ばかりが次々と発せられていることです。

エネルギー高騰の緊急事態に対処するための手を打つのは十二分に理解できます。

その一方で円安を活かして地域の「稼ぐ力」を回復・強化させる施策は疑問です。

インバウンド観光の振興などですが慌てて補正予算に盛り込んで具体に何をするのでしょうか。

地方交付税を5000億円程度増額するというのです。理解できません。

国税から地方に移転する税金を増やして「稼ぐ力」がアップできるのでしょうか。

地方交付税は財政事情が厳しい主に地方の自治体の財政を補完するものです。

「稼ぐ力」とは本来無縁です。しかも一般財源として地方に配分されます。

5000億円と言っても個々の自治体にばらければさほどの額になりません。

大半の自治体は財政の補てんに回し知恵を絞るなんてことには目もくれないでしょう。

かりに新たな事業を考えようとしても突如アイデアが浮かぶものではありません。

効果が見込めない事業が目白押しになるような予感がしてなりません。

前例があります。新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金です。

五輪の聖火リレー、花火打ち上げ、河床の掘削事業、婚活事業、公用車の購入。

調査報道をしているグループTansaのサイトを見ればあきれた無駄遣いの事例が並んでいます。

https://tansajp.org/investigativejournal_category/region/

地方交付税で全国に配布されればお金に色はついていませんので使途はわかりません。

岸田政権は地方側にごまをすったつもりかもしれませんがこうした税金の使い方は許されません。