危険を察知して逃げる自助力アップ

韓国の繁華街梨泰院(イテウォン)には4回訪れたことがあります。

最初はソウルオリンピックが開かれた年の1988年です。昔の街並みが残ってました。

2000年代になると整備が進み2017年にはすっかりおしゃれな街路となってました。

ただし狭いところは変わりがありません。人々が殺到したら危険です。

ハロウィンを前に観光客が押し寄せて傷ましい事故が発生してしまいました。

犠牲者は156人と伝えられます。日本人も2人が犠牲となりました。

事故が起きるかなり前から危険を知らせる警察への通報が11件あったとのことです。

内容は「圧死しそう」「危険なので統制が必要」などとなってます。

警察の対応は不十分だったということで事故原因の究明の焦点のひとつとなるでしょう。

事故原因を探るのは容易ではないと思いますが徹底究明は警備当局の責務です。

一方で群衆の側にも焦点を当てて事故とのかかわりを探る必要があると思います。

観光客の中にはあまりの人数の多さに危険を察知し現場を離れた人もいるはずです。

自ら危険を避ける行動をとった人たちへのヒアリングは極めて大切です。

いわゆる自助によって自らの身を守ったのです。この体験は共有すべきです。

群衆の流れに入るか避けるか二者択一です。避ける判断をした理由は今後に活きます。

ひとりひとりの事故に対する感性というか危険を察知するアンテナを磨く必要があります。

事故が起きてしまってから原因をいくら究明しても犠牲者はよみがえりません。

事故に巻き込まれないよう自らの命は自ら守る能力を高めることは大切です。

1993年夏の衆院選挙で自民党は過半数割れを起こし一党支配体制は崩れました。

細川連立政権が誕生しました。立役者は剛腕で知られた小沢一郎さんです。

小沢さんの著書『日本改造計画』はベストセラーになりました。

まえがきが刺激的です。アメリカの観光地グランドキャニオンを訪れた印象を記してます。

日本なら立ち入り禁止の立て札があるような場所に転落を防止する柵すらないというのです。

小沢さんは観光客が自ら安全を守るのが当たり前の社会であることを言いたいのです。

小沢さんの政治哲学が如実に表れています。自己責任を重んじるということです。

自己責任の行き過ぎは弱者切り捨てにつながり容認できませんが傾聴に値する点があります。

押し掛けた群衆は全面的に保護が必要な弱者かといえばそうではありません。

群衆の側も自主的な判断で身を守る余地があったと見るのが正しいと思います。

自分の身は自分で守る意識をかん養することは再発防止の欠かせない要素です。