日韓両国の政治混乱から見える共通性

岸田総理と韓国のユン・ソンニョル大統領が会談したらどんな会話をするか興味津々です。

ふたりの置かれた環境があまりに似ていることにお互い苦笑せざるを得ないと思うからです。

変調は岸田総理からでした。7月の参院選の最中に起きた安倍元総理の銃殺事件が引き金でした。

衝撃の事件に対し国民は現場に献花をささげるなど哀悼の感情を直截に表しました。

こうした国民の動きを見て岸田総理は電光石火国葬挙行を決めました。

安倍元総理の功績を讃えるだけでなく保守派の国民を引き寄せようとの意図もあったはずです。

この政治的欲望がつまづきのもととなりました。国葬反対の世論が巻き起こりました。

銃撃の余韻が覚めない間は口にすることがはばかられた本音が出だしたのです。

国民的合意がないまま国葬の断行は好ましくないとの正論が多数派となりました。

岸田総理はこの読み違いからやることなすこと後手に回っています。

要人警備体制の見直しは警察庁が直接チェックする制度改革が一気に進みました。

人的な体制が不十分な中で警察庁が全てを仕切ることは不可能だと思います。

国葬を控えかたちを示さなければならないとの焦りがもたらした見直しだと思います。

旧統一教会をめぐる諸問題は泥沼化し質問権を行使するところまで追い込まれました。

腰の据わった対応には見えず野党や世論の反発におびえじたばた感はぬぐえません。

山際経済再生担当大臣が辞職した矢先に党の役職に就かせる奇妙な対応も気がかりです。

お隣の韓国のユン大統領は梨泰院で群衆による悲惨極まる事故に直面しました。

156人が死亡です。狭い路地に群衆が殺到し身動きできなくなったことによる事故です。

韓国の大衆は警察の警備に問題があったのではないかとの疑念を募らせました。

特別捜査本部は警察トップの執務室を捜索しました。ユン大統領は組織改革に言及しました。

雑踏警備に問題点があったにせよ一時の熱気に押された拙速な対応に見えます。

まずは事故原因の冷静な究明が何より大切です。過剰反応は自らの首を締めます。

政府や警察批判の大合唱は野党による扇動の側面も考えられるだけに沈着さが求められます。

日韓両国のトップに共通しているのは世論に引きずられ冷静な判断力を見失っているとことです。

一国の指導者の地位に就いているのは何のためかという原点を思い出して欲しいです。

地位を守るのが目的ではありません。国家の安全と安定、繁栄の為にいるのです。

世論に迎合し右往左往することなく肚を据えて対処している覚悟を見せて欲しいです。

指導者の不退転の姿勢は国民に伝わり大衆の興奮は自ずと鎮まると思います。

 

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