真の「中国の夢」の実現を夢見て 

昨日に続いて中国関連のブログです。ある雑誌から原稿を依頼されました。

『現代の理論』という年4回発行のマイナーな雑誌ですが執筆者は著名な方が並んでます。

来年の正月号で中国特集を組みたいということでした。4000字弱です。

私は中国専門の研究者でもなんでもありません。民間の日中交流に携わっていただけです。

昨今の中国の強権的な動きにあきれ返り全ての役職から身を引いています。

編集者にそんな立場の者でも宜しいのか念押ししました。構わないとの返事でした。

題名は「真の『中国の夢』の実現を夢見て」としました。「真の」としたところがみそです。

大胆にも習近平主席が掲げる「中国の夢」はにせものだと言いたいのです。

人権や政治的自由を抑圧して「中国の夢」を語るのは本末転倒だとの考えからです。

小論では私の個人的な体験から書き始めました。1981年5月の中国新婚旅行です。

北京空港から市内に入る道は整備されておらず周辺の農地では荷車を牛が引いていました。

ホテルの蛇口から黄色い水が出てきました。万里の長城のトイレは惨たんたる状態でした。

中国を訪れるたびに変ぼうに目を見張りました。2018年秋に訪れた上海は摩天楼都市でした。

40年の間の中国の経済的発展がいかにすさまじいかを体感しています。

習近平体制になって経済の躍進を背景に政治的強国を目指す路線が鮮明になりました。

「中華民族の偉大なる復興」路線です。中国最古の王朝の創始者禹(う)との関りを書きました。

私の住む地域に禹にちなんだ遺跡が残っていることから中国との文化交流を始めました。

地域を流れる酒匂川の治水の難所にある福沢神社の守り神は治水の神の禹です。

中国で禹に対する信仰が復活を遂げています。中華民族の偉大なる復興と軌を一にしています。

各地で巨大な禹像を創作し中華民族の祖として崇拝の念を喚起しています。

日本では治水の神として捉えられている禹とイメージは大きく異なります。

習近平主席は人民中国の建国の父毛沢東に並び立ちたいとの野望を秘めているとされます。

私はそれ以上に中国王朝の創始者である伝説の皇帝禹も念頭にあると見ています。

禹が伝説の存在だからと言って無条件に受け入れることは間違ったメッセージを送ります。

警戒感を持って対応することが今後の禹関連の日中文化交流にとって必要です。

文化は自由で民主的で多様性を重んじるのが本来の姿であるべきだと考えます。

偉大なる中国文化の復興を夢見てそれを押し付ける中華の発想は時代錯誤です。

中国がいつの日か文化の真のあり方に目覚める日が来るのを夢見ていると結びました。