防衛費増額の財源をめぐる百家争鳴
5年間の防衛費の総額43兆円の財源をめぐる増税論議が騒々しいです。
「賃上げマインドを冷やす発言を、このタイミングで発信された総理の真意が理解できません。」
高市経済安保大臣の発言です。現職大臣でありながら思い切り毒を吐きました。
政府与党首脳会議に呼ばれないことへの腹いせかポスト岸田ののろしか…。
「広く薄く、国民が防衛を考える意味でも増税という選択肢は避けて通るべきではない。」
こちらは最近影が薄くなっていた稲田元防衛大臣の自民党政調全体会議での発言です。
稲田さんは安倍元総理の庇護で頭角を現しましたが選択的夫婦別姓への賛否で失速しました。
反対論の根強い安倍派内で賛同の姿勢を鮮明にしたことが影響したと見ています。
防衛費をめぐる発言は正論です。借金で軍拡はいつか来た道です。
「国債償還の60年ルールを見直して、償還費をまわすことも検討に値する。」
台湾を訪問した萩生田政調会長の発言です。財源ねん出のウルトラC級の曲芸です。
萩生田さんは安倍派の跡目を争う人材のひとりです。国内政局を意識しているはずです。
派内にある増税反対論をも意識しつつ財務省を敵に回したくないという立ち位置です。
防衛が何のためにあるのかという原点を忘れて欲しくはありません。
内向きの視点で防衛を語れば語るほど総理総裁の器でないと見下されると思います。
東日本大震災の復興予算の財源「復興特別所得税」の一部を転用案も出ているようです。
復興から道半ばで苦しんでいる被災民から見ればこれは火事場泥棒案です。
岸田総理は防衛費増額に不足する財源を国債で賄うことを否定しました。
「国債でというのは未来の世代に対する責任として取り得ない。」
稲田元防衛大臣の発言と同様正論ですが若干の留保が必要です。
財務省の意向に沿って発言しているという疑念が払しょくしきれないのです。
岸田総理の言い回しから総理自身の不退転の信念が今ひとつ感じ取れないからです。
後ろ盾は長期にわたり財務大臣を務めてきた麻生副総裁です。勘繰られます。
私は防衛費の増額をめぐって大衆迎合的な論議は避けるべきだと思います。
無駄遣いの徹底がまず第一、基金の余剰金活用が第二、第三は増税だと思います。
増税の柱を法人税に置くのに賛成です。法人税を支払う企業の大半は大企業で担税力あります。
安全保障環境の安定には強い関心があるはずです。順当な判断だと思います。
「財源の話が独り歩き。稚拙、つたない政権運用だ。」立民党の安住国対委員長の発言です。
まっとうな意見です。なぜ43兆円なのか中身を精査した上での財源論が筋です。